2006 Fiscal Year Annual Research Report
ニワトリ胚中脳・視蓋形成に関わるシグナルクロストークへの新規アプローチ
Project/Area Number |
05J04901
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平野 明日香 (鈴木 明日香) 東北大学, 生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ニワトリ胚 / 中脳 / 視蓋 / 前後軸形成 / 峡部 |
Research Abstract |
beta2-Chimaerinは、細胞内でジアシルグリセロールと結合するRac-GAP分子である。beta2-Chimaerinはニワトリ胚の初期神経管で、孵卵開始後1.5日では中脳胞から後脳胞前側にかけて広く発現しているが、3日後頃から間脳/中脳胞で特異的に発現するようになり、特に中脳胞で前後軸に沿って勾配を持つ特徴的な発現パターンを示す。一方滑車神経は正常では峡部腹側の神経核から背側に向かって走行し、背側正中で交差し眼の筋肉へ投射するが、in ovoエレクトロポレーション法を用いて野生型beta2-Chimaerinを本来発現のない3.5日胚峡部に異所的に強制発現すると、滑車神経核の範囲が広がり、背側への走行が乱れていた。さらにそこにPhorbol-12-myristate-13-acetateをしみ込ませたビーズを挿入しbata2-Chimaerinを活性化すると、軸索が萎縮したような神経や、背側正中以外からの投射がみられた。一方、beta2-Chimaerinに対するsiRNAを中脳胞に強制発現し、beta2-Chimaerinの発現をノックダウンすると、中脳の軸形成に関わる分子であるEphrinA2の発現が誘導された。さらに、高濃度のsi-beta2-Chimaerinをスポット状に強制発現すると、beta2-Chimaerinが抑制された細胞の周りで神経上皮の異所的なふくらみが見られた。また、beta2-Chimaerinは中脳の前後軸形成に働くEn-2の発現によって抑制された。これらのことは、beta2-Chimaerinが中脳・視蓋形成において、前後軸形成に働くシグナルに関わるとともに、細胞骨格系のシグナルに働いていることを示唆しており、beta2-Chimaerinの解析がこの二つのシグナル経路を繋ぐ有為な分子であることが示された。
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