2005 Fiscal Year Annual Research Report
ニワトリ胚中脳・視蓋形成に関わるシグナルクロストークへの新規アプローチ
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05J04901
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平野 明日香 (鈴木 明日香) 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 発生生物学 / ニワトリ胚 / 中脳 / 視蓋 |
Research Abstract |
峡部オーガナイザー分子Fgf8は、視蓋・小脳分化を誘導する。そのうち、Fgf8-Ras-ERK経路が小脳の発生に働いていることは示されたが、この経路を阻害しても視蓋の形成は起こることから、視蓋の形成には何か別のシグナル経路が働いていることが考えられた。β2-Chimaerinは、間脳胞/中脳胞に非常に特異的な発現を示す分子である。また、昨年度までの予備的実験から、中脳胞での前後軸形成に働くこと、Ras-ERKシグナル経路とは独立して働いていることが期待された。 本年度ではまず、中脳形成におけるβ2-Chimaerinの作用を調べるため、野生型β2-Chimaerinおよびβ2-Chimaerinに対するsi-RNAを発現ベクターに組み込み、ニワトリ1,5日胚中脳胞にin ovoエレクトロポレーション法を用いて強制発現した。マーカー遺伝子の発現を調べると、β2-ChimaerinのsiRNAはEphrinA2の発現を誘導するが、それ以外では野生型Chimaerinも含め、Fgf8やOtx2、Gbx2などの領域決定に関わる遺伝子の発現には影響しないことが分かった。次に、3日胚までの脳胞に発現する様々な転写因子を強制発現し、β2-Chimaerinの発現を調べると、Wnt1、Pax2/6/7、Otx2などによりその発現が抑制されることが示された。しかし、Shhの強制発現では、β2-Chimaerinの中脳胞での前後勾配が逆になる発現型を示すのが分かった。今後、これらの解析をさらに進め、中脳/視蓋形成におけるシグナル伝達経路の相互作用を調べていく予定である。 また、β2-Chimaerinをレトロウイルスベクターに組み込み、1.5日胚の中脳胞に強制発現し、孵卵10日での視神経の投射を調べると、視神経の走行が乱され、領域特異的に投射のなされない場所が見られた。現在こちらも解析中である。
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Research Products
(2 results)