2005 Fiscal Year Annual Research Report
単子葉植物の多様な花被発達の分子機構解明と形質転換技術を応用した有用品種の作出
Project/Area Number |
05J04905
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 徹 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | MADS-box遺伝子 / 花器官形成 / 単子葉植物 / 被子植物 / 花被 / 形態形成 / 系統進化 / 分子進化 |
Research Abstract |
花被形態の多様性は花弁の形態形成に関わる遺伝子の発現の変化により引き起こされると考えられる.そこで,まず,同花被花植物であるアガパンサス,ヤマジノホトトギスおよび異花被花植物であるオオバナノエンレイソウ,また,花弁を失った植物であるエンレイソウから花の器官形成に関わるMADS-box遺伝子のうちBクラスに分類される遺伝子を単離した. アガパンサスについては同花被花の器官形成に関わるBクラス遺伝子の機能を調査するため,in situ hybridization法による発現解析とシロイヌナズナにおける過剰発現による機能解析を行った.その結果,アガパンサスにおいてはBクラス遺伝子の発現領域がwhorl1まで拡大することにより同花被花が形成されている事が明らかとなった. さらに,ヤマジノホトトギスのBクラス遺伝子についてもRT-PCRにより発現を調査した結果,ヤマジノホトトギスにおいてもBクラス遺伝子の発現領域の拡大と同花被花形成とが関連している事を明らかにした.ヤマジノホトトギスから単離した遺伝子についてはアンチセンス鎖発現ベクターを構築し,ホトトギスへ形質転換を行っている.これにより同花被花形成に関わるBクラス遺伝子の機能が明らかになると考えられる. また,単子葉植物におけるSOC1/TM3-like遺伝子群の機能的進化の解析を行った.この遺伝子群もMADS-box遺伝子であり,日長や春化処理,ジベレリン処理による花成などのように多くの機能を有する遺伝子群である.この機能の多様化を系統進化学的に考察するためにオオバナノエンレイソウからSOC1/TM3-like遺伝子(TrcMADS1)を単離し,系統解析および発現解析を行った結果,この遺伝子群が遺伝子重複を繰り返し起こす事によってそれぞれの遺伝子の機能が細分化されてきた事を明らかにした.
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Research Products
(6 results)