2005 Fiscal Year Annual Research Report
塩害水田におけるイネの成育および耐性に関わる遺伝子の同定と生理機構の解明
Project/Area Number |
05J04911
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
竹久 妃奈子 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | イネ / 塩害水田 / QTL / 耐塩性 / Bronzing |
Research Abstract |
本研究の目的は、塩害水田におけるイネの生育に関わる遺伝子の同定と、その遺伝子が関わる環境ストレスの特定およびそのストレスへの耐性に関わる生理機構の特定である。本研究では、特に塩害水田において認められるイネ葉身の褐変化(Bronzing)に注目し、日本型イネ品種日本晴とインド型イネ品種カサラスの交配後代を用いたquantitative trait loci(QTL)解析等の遺伝学的手法により、その遺伝要因と環境要因の解明を目指している。平成16年度までの研究の結果では、Bronzingの発症には、遺伝要因として第3染色体長腕部に1箇所の遺伝子座(qLb-3:QTL leaf bronzing-chromosome 3)が、環境要因として塩害水田で発生する環境ストレスの一つである土壌の還元化が関与していることが示唆されていた。それらの結果をふまえ、平成17年度では、qLb-3のファインマッピングとqLb-3と相互作用を示す遺伝子座の検出を試みた。qLb-3に関する約2000個体の組み換え集団を用いた連鎖解析の結果、qLb-3は第3染色体長腕末端部に位置するspl-1マーカーとAC092852マーカー間の約120kb内に存在することが示された。また、染色体部分置換系統および約100個体の組み換え集団を用いた連鎖解析の結果、Bronzingの発症にはqLb-3だけでなく第11染色体単腕部のqLb-11が関与していること、さらにそれらの2遺伝子座はBronzingの発症に関し相互に作用することが示された。平成17年度の本研究の成果は、国際誌Breeding Scienceに投稿中である。
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