2006 Fiscal Year Annual Research Report
嘘と錯記憶に関わるヒトの脳内情報処理過程についての研究
Project/Area Number |
05J04930
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
阿部 修士 東北大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 嘘 / 錯記憶 / 認知神経科学 / 実験心理学 / 脳機能画像法 / PET / fMRI / 前頭葉 |
Research Abstract |
1.嘘と錯記憶に関与する脳領域の同定 本年度は嘘に重要な二種類の要因-情報の操作と情動の制御-に関与する神経基盤について、研究成果を報告した(Abe et al.,2007)。この研究では、嘘をつくための情報の操作には外側前頭前野が、情動の制御には内側前頭前野と扁桃体が関与するという可能性を示した。 本年度はさらに嘘と錯記憶に関与する脳領域を調べるため、再認記憶の実験パラダイムを用いて、正しく再認できた時・誤って再認した時(虚再認)・意図的に嘘をついた時の神経活動を比較する実験を行った。結果としては、それぞれの認知過程に特異的に賦活する脳領域が同定され、学会にてその成果を発表した。今後さらに詳細な解析を行うと共に考察を加え、成果をまとめていく予定である。 2.嘘と錯記憶に関する神経心理学的研究 遂行機能障害が指摘されているパーキンソン病患者群において、嘘をつく課題で成績が低下する可能性、またその成績の低下が前頭前野における糖代謝の低下と相関している可能性を考え、神経心理学的検査とFDG-PETによる研究を開始した。また、アルツハイマー病患者群における錯記憶の発生機序を調べるため、虚再認のパラダイムを利用した記憶検査による研究を開始した。これまで主にコントロール群となる健常高齢者のデータを取得しており、新しく作成した課題については、概ねその妥当性を確認することが出来た。今後は患者群の症例数を増やし、特に行動データと画像データの関係という視点から、データを解析する予定である。
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