2005 Fiscal Year Annual Research Report
環境と経済が調和した農山漁村型産業クラスターの形成と発展に関する研究
Project/Area Number |
05J04932
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平口 嘉典 東北大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 農山漁村 / クラスター / 地域活性化 |
Research Abstract |
本年度は、本研究で提唱している農山漁村型産業クラスターの構築にあたり、その基盤である社会・経済構造の解明に主眼を置き、具体的には以下の3点について調査・研究等を行った。 第1に、研究対象地域(岩手県陸前高田市)の数戸の林家を対象にヒアリング調査を実施した。これは農山漁村型産業クラスターの中核部分である林業について、その経営実態を把握するためのものであった。調査結果として、分散する林地所有形態と停滞・縮小する林業経営が浮き彫りになった。なお、この結果については本年度7月に学会報告を行った。 第2に、研究対象地域のA集落(30戸)を対象に集落悉皆調査を行った。これは、農山漁村型産業クラスターの構成要素となる農家や林家について、その経営の問題点や生活上の問題点を探ることにより、クラスター構築の際の必要条件を明らかにすることを目的とし、農林業経営の実態把握ならびにそこで生活している各世帯の生活実態把握を行ったものである。結果として、各戸の農林業収入は年々縮小し、職業としても、また生活としても農林業とは疎遠になってきていることが明らかになった。 第3に、環境技術の先進地視察のために欧州渡航(ドイツ・イギリス)を行った。これは先進的な環境技術の利用実態を把握することに加え、日本と欧州の農山村地域の相違点を見出すことを目的とした。結果として、欧州では行政主導の環境技術導入が図られている一方で、法整備や構造・規模の面で日本とは大きな相違点があることが見いだされた。 以上の3点を総じて、農山漁村型産業クラスターの構築にあたっては、地域の特殊性を十分加味したモデル作りが必要であることが明らかになった。
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