2006 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ波を用いた2層系量子ホール状態におけるマクロ・コヒーレンスの研究
Project/Area Number |
05J04948
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩田 一樹 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 量子ホール効果 / 2層系 / 強磁場 / 2次元ボース凝縮 / 高周波 |
Research Abstract |
平成18年度は、マイクロ波実験用のクライオスタット作成を行なった。現在、クライオスタットの設置が終了し、希釈冷凍機が稼動できるところまで作業が進んでいる。現在は、さらに、2次元電子系に面内磁場を印加するためにベアリングを用いた回転式ヘルムホルツ型マグネットの整備、及び、マイクロ波伝播用の導波管回路の整備を行っている。平成19年度においてはこのクライオスタットを用いて、マイクロ波とトランスポートを組み合わせた実験を行なう予定である。 また、その一方で、マイクロ波用クライオスタットの整備と平行して、前年度に立ち上げた希釈冷凍機を用いてトランスポートの測定を継続的に行なった。その測定の結果、2次元電子系に大きな面内磁場を加えた際に、2層系ν=3においてヒステリシス現象が生じることを見出した。このヒステリシス現象を詳しく調べた結果、これまでに量子ホール状態において観測されてきたスピン自由度やパラレルコンダクタンスが原因のものとは異なり、2層系特有の層の自由度である、"擬スピン自由度"に起因することが明らかになった。2層系量子ホール状態では擬スピン転移が存在し、転移に伴うヒステリシス現象の発生が期待されてきたが、これまでに、そのような擬スピン自由度起因のヒステリシス現象はこれまで見出されておらず、我々がはじめて見出したものである。このヒステリシス現象を研究することによって、2層系量子ホール効果における擬スピン自由度の理解に関して新たな知見をえることができたと言える。
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Research Products
(2 results)