2007 Fiscal Year Annual Research Report
星間水素散乱光を利用した太陽裏側活動領域のリモートセンシング
Project/Area Number |
05J04954
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡崎 良孝 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 星間水素散乱光 / 銀河宇宙線 / 太陽風磁場 / ミューオン計ネットワーク / 太陽風相互作用共回転領域(CIR) / 太陽磁場の極性 / 地上観測 / モデリング |
Research Abstract |
グローバルミューオン計ネットワークによって得られた銀河宇宙線(Galactic Cosmic Ray; GCR)データの解析を行うことにより、Corotating Interaction Region (CIR)に起因するGCR密度の3次元構造を明らかにした。 本研究では太陽磁場極性が負(A<0)の時期にあたる2006年3月から2007年6月の期間のネットワーク観測データと新開発した解析手法を用いることにより、CIRの地球通過に伴ってGCR密度勾配に以下のような系統的な変動がみられることを示した。まず黄道面南北方向のGCR密度勾配は、太陽磁場のtowardセクターで南向き、awayセクターで北向きの傾向を示すことを明らかにした。またCIRの地球を通過後に、黄道面内のGCR密度勾配が太陽から離れる向きに増大する傾向が得られた。このことはA<0時のドリフトモデルから得られるGCR密度分布と一致する。これまでの観測上の制約を克服し、モデルで予言されていたGCR密度分布の3次元構造を観測的に初めて明らかにした。 また、Arizona大のKota博士らの協力により、ドリフトモデル計算結果と観測結果を比較し、少なくともA<0時において太陽磁場中で生じるGCRのドリフト効果が観測された密度勾配の系統的な変動を生み出す上で支配的な役割を果たすことを示した。GCR密の度分布を作る物理過程について新しい知見をもたらした。 以上に加え、星間水素散乱光観測と併せた宇宙天気予報研究への応用・長期間変動に関する複数のテーマについても研究を行い、その成果を国内外の学会にて発表した。2008年2月にはそれらの内容を博士論文としてまとめ東北大学理学研究科に提出し、学位を授与された。冒頭の短期変動に関する研究については成果を米国天文学会誌に投稿し2008年3月に受理された。掲載は2008年6月の予定である。
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Research Products
(6 results)