2007 Fiscal Year Annual Research Report
AE・微小地震マルチプレットの発生メカニズムの解明に関する研究
Project/Area Number |
05J04977
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
熊野 裕介 Tohoku University, 大学院・環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | AE・微小地震 / AEマルチプレット / 地下深部開発 / 水圧刺激 / 地下流体流路 / 高温岩体 |
Research Abstract |
振幅二乗コヒーレンスを用いた波形類似性の評価方法と波形類似性を支配する物理現象との関係について検討を行った。ここでは、ソルツ地熱フィールド(フランス)、クーパー盆地地熱フィールド(オーストラリア)、ならびにバーゼル地熱フィールド(スイス)における水圧刺激時に観測されたAEデータを対象とし、様々な周波数帯域・解析時間窓長を用いて計算される振幅二乗コヒーレンスの値と、AE観測波形の周波数特性(コーナー周波数)ならびに基準イベントからの震源間距離との相関について検討を行った。 その結果、解析時間窓長を長くとるほど、また解析周波数帯域を高周波帯域まで含めるほど、AE源が近いイベントのコヒーレンスが高く評価されることが明らかとなった。また、低周波帯域のコヒーレンスはコーナー周波数依存性が弱く、高周波帯域のコヒーレンスはコーナー周波数依存性が強いことが示された。以上の検討結果から、まず、低周波帯域を用いることで、同一のき裂構造のせん断すべりに対応するイベント群が同定できると考えられる。さらに、低周波帯域による個々のマルチプレットクラスタ毎のイベント発生挙動と合わせて検討を行った結果、高周波帯域を用いることで、同一のき裂構造内の微細構造を推定できる可能性が示された。 従来のマルチプレット解析では、研究者毎に異なる方法を用いて波形類似性の評価が行われてきた。またそれに伴い、マルチプレット解析の結果も研究者毎に異なっており、その解析結果の解釈は困難であった。本研究で得られた波形類似性の評価指針は、物理現象との関係をふまえたものであり、解析結果の解釈を行う上で有用である。また、同評価指針は上記の3フィールドの解析から得られた結果であり、普遍的に適用可能な手法であると考えられる。従って、同波形類似性評価法・評価指針は水圧刺激により造成されたき裂システム構造の有効な計測手法となり得ると考えられる。
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Research Products
(4 results)