2005 Fiscal Year Annual Research Report
極性ドメインエンジニアリングによる非線形光学素子の創製
Project/Area Number |
05J04982
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
嶺岸 耕 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ZnO / 分子線エピタキシー / 酸化物エピタキシー / 界面エンジニアリング / 擬似位相整合 / 非線形光学素子 / 第2高調波発生 / 波長変換 |
Research Abstract |
本研究「極性ドメインエンジニアリングによる非線形光学素子の創製」において、我々は近年、紫外域発光素子用材料あるいは透明導電膜として注目されているZnOの非線形光学応用に取り組んできた。本研究の柱は3つで、1.極性ドメインエンジニアリング技術の確立と非線形光学素子への応用2.極性制御機構の解明、である。 今年度は主にMBE法およびフォトリソグラフィーを用いて、極性ドメインエンジニアリング技術の確立に取り組んだ。我々はc面サファイア基板上においてMgOバッファー層の膜厚を制御することにより、その上に成長したZnO薄膜の極性が制御できるということを利用するため、MgOバッファー層の面内膜厚変調構造をフォトリソグラフィーと水を用いたエッチングにより作製した。また、面内膜厚変調構造を有するテンプレート上にZnO層をエピタキシャル成長させることに成功した。この際に、ZnOおよびMgOの酸素源に用いている酸素プラズマを照射することにより、清浄表面を得られることを確認し、オール酸化物であるこの系のアドバンテージを示した。エピタキシャル成長したZnO薄膜は、膜厚の厚いMgO層上に成長した部分はZn極性、膜厚の薄いMgO層上に成長した部分はO極性となっていることを確認した。以上のように、今年度は極性ドメインエンジニアリングに関して多くの成果を挙げる事に成功した。来年度の課題は擬似位相整合構造の実現、導波路構造の作製、デバイス特性を評価することである。 他方、極性制御機構の解明にも取り組んだ。放射光を光源とした斜入射X線回折により、MgOとc面サファイア基板の界面には格子定数が異なるMgO層が存在すること、また、この格子定数の異なるMgO層はZnO層で薄く(1nm以下)キャップすると混ざり合ってMgZnOという混晶となることを確認するなど、こちらも着実に成果を出すことに成功した。
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