2005 Fiscal Year Annual Research Report
DNAデバイス創製におけるバイオ・ナノ流動ダイナミクス
Project/Area Number |
05J04986
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
丸山 洋平 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | DNA / 分子デバイス |
Research Abstract |
DNA内における電荷移動の理論的解析を行うために,Kmineasらによって開発されたポラロンモデルを基に,新しい理論モデルを提案した.本理論モデルでは,これまで考慮されていなかった温度の効果を取り込んでいる.電荷の運動は時間依存シュレディンガー方程式,DNAの塩基対および水分子の運動はNewton方程式により記述され,同時に解かれる.DNA中のポラロンの平均移動速度について検討し,既存のモデルおよび実験値との比較を行った.平均移動速度が温度の上昇に伴い,増加することを見いだした.また,我々の開発した数値コードを用いて,理論モデルに用いられるパラメータを詳細に検討した.この研究により17年度の研究実施計画に記した,DNAのI-V特性の温度依存性を調べるための基礎モデルが構築された. DNA分子とOHラジカルの相互作用を第一原理計算により解析した.電離放射線はDNAを取りまく水溶液の中にOHラジカルを生じさせる.DNAはこのOHラジカルによって損傷を受けることが知られている.しかし,OHラジカルがどのようにDNAと相互作用し,分子構造や電子状態にどのような影響を及ぼすかという量子化学レベルでの知見は未だに得られていない.本論文では,OHラジカルとDNAを構成するAT対の相互作用に着目し,これらの系に対する第一原理計算を行った.その結果,OHラジカルと塩基が相互作用することにより,AT間の水素結合が弱まることを見出した.この研究により研究の目的に記した紫外線などによるDNA損傷の微視的機構に関する知見が得られた.
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Research Products
(2 results)