2005 Fiscal Year Annual Research Report
半導体および半導体量子構造における電子スピン・核スピンダイナミクスに関する研究
Project/Area Number |
05J04989
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松坂 俊一郎 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 電子スピン / 核スピン分極 / g因子 / 半導体 / 量子構造 |
Research Abstract |
1.量子ドット中における電子スピン・核スピンダイナミクスに関する研究 (1)必要な量子ドットを分子線エピタキシ法により作製する上での成長条件出し 本研究では使用する光源や測定感度などに合わせて用意する量子ドットを制御しなければならない.本研究ではInAs/GaAs量子ドットを分子線エピタキシ法におけるSK成長モードにより作製する.一般的に量子ドットは成長温度・成長レート・InAs被覆量によって決まり,この3つのパラメータを変化させることで所望の量子ドットを得られることを確認した. (2)顕微時間分解ファラデーおよびカー回転測定系の構築 量子ドットのような微細な構造,特に単一ドットを測定対象とし光学的に電子スピンダイナミクスを測定するには顕微鏡を用いた光学測定系の構築が必要である.本年度はこのための準備年度と位置づけ,物品の整備および装置への組込を進めた.本システムでは超伝導マグネットと組み合わせるため,周辺の器具は非磁性特注部品で揃えるなど時間を要した.そのため本年度は電子スピンのコヒーレントダイナミクスを観測するには至らなかったが,レーザ光を導入し実際に数μm程度まで光が絞れ,フォトルミネッセンス測定・反射測定などベーシックな測定を局所領域で行えることを確認した. 2.量子井戸におけるg因子の異方性と核スピン分極 本研究項目に関して本年度はg因子の異方性が核スピン分極に与える影響をさらに明らかにするために,GaAs/AlGaAs量子井戸における動的核スピン分極のg因子異方性依存性について実験を行った.本実験によりg因子の異方性,特に符号に依存して動的核スピン分極の起こり方が大きく異なることが分かった.さらにこの結果をg因子の異方性を考慮して電子スピン・核スピン間の安定状態を計算し定量的に解析したところ,観測される安定状態がg因子の異方性によって支配されていることが分かった.
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