2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規小胞輸送蛋白STAMs・Hrsによるがん抑制機構の解析
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05J05019
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
久間 昌尚 東北大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | AMSH / 脱ユビキチン化酵素 / 小胞輸送 / STAM / Hrs / 神経変性疾患 / ノックアウトマウス / ESCRT |
Research Abstract |
ユビキチンは標的蛋白質に結合することで蛋白分解のみならず輸送に密接に関与する。標的蛋白質のユビキチン修飾による運命決定は、ユビキチン化酵素(E3)および脱ユビキチン化酵素(DUB)の精緻なバランスにより制御されている。そのバランスの破綻は発癌にも深くかかわるとされている。我々は小胞輸送関連分子STAMに会合する機能分子探索の結果、脱ユビキン化酵素AMSH(Associated Molecule with the SH3 domain of STAM)を同定した。哺乳動物において脱ユビキチン化酵素の詳細の生理的機能や分子機構は未だ不明な点が多い。そこで我々は、AMSHの詳細な機能メカニズムと生物学的意義を解明する事を目的とし、研究を行った。そこで我々は、AMSHの詳細な機能メカニズムと生物学的意義を解明する事を目的とし、研究を行った。 質量分析器による解析からAMSHに会合する分子としてCHMP3(Charged Multivesicular Body Proteins 3)を同定した。CHMP3は不要となった蛋白のライソソームへの輸送に密接に関わる分子として知られていた。CHMP3と結合できない変異型AMSHの導入やAMSHのノックダウンは、細胞内にユビキチン化蛋白の蓄積を起こした。このことよりAMSHはCHMP3と複合体を成形することにより脱ユビキチン活性化を発揮し、蛋白質の分解に必須であることが示唆された。 また、当研究室ではAMSHノックアウトマウスが海馬CA1領域の萎縮に生後早期に死亡する事を報告してきた。我々はさらに、AMSHノックアウトマウスの大脳皮質や海馬CA1領域等の神経細胞に、ユビキチン化蛋白が加齢に従って蓄積する事を見出した。以上の結果からAMSH欠陥による蛋白分解の障害がユビキチン化蛋白の蓄積を引き起こし、神経変性疾患を発症させることが示唆された。
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