2005 Fiscal Year Annual Research Report
微生物へ遺伝子組換え手法により導入可能な新規エネルギー供給系の開発
Project/Area Number |
05J05033
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
七谷 圭 東北大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 産業微生物 / 有用物質生産 / エネルギー供給 / 脱炭酸的リン酸化 / トランスポーター / Asp : Ala交換輸送体 / 膜タンパクの結晶化 / システインスキャニング |
Research Abstract |
微生物による有用物質の生産は広く普及しているが、生産量は菌体内のエネルギーの低下により限定される。そこで、本研究ではアスパラギン酸-β-脱炭酸酵素(AspD)と電位差形成的アスパラギン酸(Asp):アラニン(Ala)交換輸送体(AspT)の二つの因子のみによって構成されるAsp : Ala変換型脱炭酸的リン酸化反応に着目した。醤油乳酸菌Tetragenococcus halophilusより同定されたAspT(Th-AspT)と、産業微生物Pseudomonas dacunhaeより同定されたAspT(Pd-AspT)は、同一の機能を保持しているにも関わらず、両者の輸送速度は全く異なる。そこで、高速型(Pd-AspT)、低速型(Th-AspT)Asp : Ala交換輸送体(AspT)の分子構造を比較解析することで、AspTの基質輸送機構、及び輸送速度制御機構を明らかにするため、平成17年度は以下の2点について主に研究を進めた。 1)AspTの結晶化 AspTの構造と機能の関係を明らかにするには、三次元構造を解明し基質の透過経路(孔)の構造を調べる必要がある。申請者は、平成17年8月29日〜平成17年11月3日の期間、共同研究者であり、膜輸送体の構造、機能解析の第一人者であるJohns Hopkins大学医学部(米)のPeter C.Maloney博士の元で、二次元結晶の作製法、クライオ電子顕微鏡による解析法について学んだ。現在、AspTの結晶化を試みている。 2)生化学的手法によるAspTの構造解析 膜輸送体は疎水性が高いため結晶化が難しいとされている。そこで、本研究ではCysteine修飾試薬を用いた解析を行った。その結果、膜貫通α-ヘリックス3(TM3)が基質の透過経路(孔)に面しており、中でもD67-R76がcore領域を形成し、基質の輸送に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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