2006 Fiscal Year Annual Research Report
顆粒層細胞の自死細胞早期貪食除去能の解析とその機能亢進による卵胞閉鎖抑制法の開発
Project/Area Number |
05J05038
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三宅 裕子 東北大学, 大学院農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 卵胞閉鎖 / 顆粒層細胞 / アポトーシス / 貧食細胞 / CD44 / ポリラクトサミン |
Research Abstract |
胞状卵胞において卵胞閉鎖は顆粒層細胞のアポトーシス(自死)によって開始し、その後卵母細胞が死滅すると考えられているが、卵胞が選抜される詳細なメカニズムは未だ解明されていない。また、顆粒層細胞におけるアポトーシスシグナルの検索が行われているものの、アポトーシス誘導機構と決定機構(Point of No-return)は不明である。しかし、卵胞閉鎖過程に限らず健常卵胞に貪食能をもつ顆粒層細胞が存在し、この顆粒層細胞独自の自己消去システムを機能させて貪食能を高めることにより、アポトーシス細胞を除去して卵胞閉鎖を抑制し、卵胞としての健常性を維持させることを人為的に操作する新規の卵胞閉鎖抑制法の開発が可能であると考えられる。そこで、この新規卵胞閉鎖抑制法の開発を本研究の目的としている。 当初、アポトーシス細胞にCD44が発現すると仮説を立てていたが、前年度までの研究成果から、アポトーシス細胞ではなく貪色細胞であるマクロファージにCD44が強く発現しており、さらにポリラクトサミンで修飾されていることがわかった。貪食細胞の貪食能だけではなく細胞移動性にポリラクトサミンで修飾を受けたCD44が関与することが推測された。そこで、CD44のリガンドとして知られるピアルロン酸(HA)に注目し、HA合成酵素(HAS)について解析を進めた。これまでに本研究室により、3種類のブタHAS(sus scrofa has)のうちshas2およびshas3についてはクローニングが終了していたが、shas1については未解析であったのでクローニングを行った。その結果、5'側にGC-rich領域を持つ2112塩基(そのうちORFは1732塩基)、推定アミノ酸残基数は582残基であった。HA結合モチーフやプロテインキナーゼCあるいはcAMP依存性プロテインキナーゼのコンセンサス領域、さらにHA構成成分であるN-アセチルグルコサミンの糖転移活性に必須なアミノ酸部位が保存されていた。卵巣におけるHAS mRNA発現を解析した結果、shas1 mRNAは顆粒層細胞と卵胞膜細胞に、shas3 mRNAは二次卵胞以降の発育段階における卵母細胞で発現していた。一方、shas2 mRNAは排卵卵胞の卵丘細胞のみに検出された。現在、抗shas1 抗体を作製し、タンパク質レベルにおいて解析中である。また、卵胞閉鎖過程において明らかにマクロファージとは異なる貪食細胞が崩壊した基底膜付近に観察され、CD44を強く発現していたことから、これらが顆粒層細胞から貪食細胞に分化した可能性があるのではないかと、今後さらに解析を進めていく予定である。
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Research Products
(3 results)