2007 Fiscal Year Annual Research Report
園芸植物の頂芽優勢と蔓巻き性を制御する重力応答機構の解明
Project/Area Number |
05J05047
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
北澤 大典 Tohoku University, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 植物生理学 / 宇宙植物学 / 重力屈性 / 頂芽優勢 / 回旋転頭運動 / アサガオ / 蔓性植物 |
Research Abstract |
アサガオなどの園芸植物の栽培では、摘心栽培や整枝の基礎となる頂芽優勢、蔓巻き性、姿勢制御などがその収量や品質に大きく影響する。申請者は、頂芽優勢および蔓巻き性に異常を示す重力屈性欠損アサガオ・weeping(we)およびwe2を用いた研究を進めてきた。その結果これまでに、weおよびwe2の変異原因遺伝子が、それぞれ地上部の重力受容細胞である内皮細胞の分化に必要な、PnSCRおよびPnSHR1であることを明らかにした。このように、重力受容細胞による重力応答が正常な頂芽優勢や蔓巻き性に必要であることが強く示唆されるが、その詳細な関係は未だ明らかになっていない。そこで本研究では、重力によって制御される頂芽優勢と蔓巻き性の分子機構の解明を目的に、両原因遺伝子の解析および重力依存的形質の分子生理学的解析を行い、以下の成果を得た。 シロイヌナズナSHRはSCRの転写を正に制御して内皮細胞分化に機能することが知られている。そこで、PnSHR1がPnSCRの発現を調節しうるかを検討した。その結果、PnSHR1の変異体であるwe2においてPnSCRの発現量が顕著に低下していることを見出し、PnSHR1がPnSCRの上流で正の転写調節因子として機能することが考えられた。 重力依存的な頂芽優勢の制御機構を明らかにするため、共に頂芽優勢打破を誘導する処理である重力刺激(折り曲げ)および茎頂切除(摘心)による、植物ホルモン動態変化の比較解析を行った。その結果、野生型アサガオに対し摘心処理を行った場合は、節においてサイトカイニン内生量が増加した一方で、オーキシン応答は低下した。これに対して、折り曲げ処理を行った場合は、頂芽優勢の打破が生じる野生型およびそれが生じないwe系統において、サイトカイニン内生量およびオーキシン動態に顕著な変化は認められなかった。従って、重力依存的な頂芽優勢の打破は、摘心による場合とは独立した新規の機構によって起こる可能性が示唆された。
|
Research Products
(2 results)