2005 Fiscal Year Annual Research Report
園芸植物の頂芽優勢と蔓巻き性を制御する重力応答機構の解明
Project/Area Number |
05J05047
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
北澤 大典 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 植物生理学 / 宇宙植物学 / 重力屈性 / 頂芽優勢 / 回旋転頭運動 / アサガオ / 蔓性植物 |
Research Abstract |
アサガオなどの園芸植物の栽培では、摘心栽培や整枝の基礎となる頂芽優勢、蔓巻き性、姿勢制御などがその収量や品質に大きく影響する。申請者は、これまでの重力屈性欠損アサガオ(シダレアサガオ)を用いた研究から、その変異原因遺伝子が重力受容細胞である内皮細胞の分化に必要なPnSCRである可能性、さらに、頂芽優勢が内皮細胞を介した重力応答によって制御される可能性を見出している。一方で、蔓性植物の蔓巻き運動に必須と考えられる回旋運動にも重力の関与が示唆されている。しかしながら、これらの形質と重力応答との関係は未だ明らかにされていない。そこで本研究では、重力によって制御される頂芽優勢と蔓巻き性の分子機構の解明を目的に、蔓性植物であるアサガオの重力屈性突然変異体を用いた生理学的解析、およびその変異原因遺伝子の同定を試み、以下の成果を得た。 シダレアサガオの変異原因遺伝子がPnSCRであることを検証するために、シロイヌナズナscr変異体を用いた相補性試験を行った。その結果、野生型PnSCRを導入したシロイヌナズナscr変異体では花茎の負の重力屈性と回旋運動が復帰したのに対し、変異を生じたシダレアサガオ型PnSCRを導入した系統ではその復帰が認められなかったことから、PnSCRがシダレアサガオの変異原因遺伝子であることが証明された。 重力応答制御分子の更なる同定のために、新規の重力屈性欠損アサガオ(シダレ2)を解析した。その結果、シダレ2は前述のシダレアサガオとは異なり、正常な内皮細胞層を有する重力屈性突然変異体であることが明らかになった。従ってシダレ2は、重力刺激感受後の経路に関わる遺伝子に変異を有することが示唆された。さらにシダレ2では、頂芽優勢および回旋運動の異常、蔓巻き性の欠損が認められたことから、これらの現象の重力依存性が強く示唆された。
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Research Products
(1 results)