2007 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子の可動性を利用した新規遺伝子資源の探索とその水平伝播機構に関する研究
Project/Area Number |
05J05053
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮崎 亮 Tohoku University, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 可動性遺伝因子 / プラスミド / 難分解性化合物分解酵遺伝子 / 水平伝播 / 接合伝達 |
Research Abstract |
従来の微生物研究は実験室内で培養可能な細菌を研究材料としており、自然界に棲息する細菌の99%以上を占める難培養性細菌群の遺伝情報を扱うことは不可能である。また、多くの細菌ゲノム中に遺伝子水平伝播の痕跡が明らかとなっているが、実際の自然環境での挙動に関する知見は十分ではない。本研究では自然界に存在する可動性遺伝因子を利用して新規分解酵素遺伝子を取得すると共に、遺伝子水平伝播機構の解明を目的とする。 今年度の研究成果として、まず、ナフタレン分解プラスミドNAH7の接合伝達に関わるmpf(mating-pair formation)オペロンの第1orf産物(MpfR)が、mpfオペロンのpromoter(Pmpf)活性や下流遺伝子の発現を抑制し、NAH7の接合伝達頻度を低下させることを明らかにした。MpfRによる自己抑制能は強力ではないが、Pmpfからの転写量を一定レベルに保っていると示唆された。次に、NAH7の伝達起点近傍に位置するtraDオペロン(traD-orf16-orf15)が、接合伝達効率の向上に関与することを示した。TraDは細胞質に存在し、宿主株の運動性も制御することを明らかにした。Orf16はホモ複合体を形成するペリプラズムタンパク質で、既知の接合伝達コンポーネントと相互作用するNTPaseであると示唆された。Orf15は膜タンパク質で、traDオペロンの中で最も伝達頻度に影響を与える因子であった。さらに、供与菌-受容菌を大腸菌-Pseudomonas属細菌とした場合には、traD,orf16,orf15の欠損によって接合体株は出現せず、このケースではこれら遺伝子が必須であることを示した。同時に、接合伝達を制御する因子が受容菌側にも存在することを見出し、エネルギー代謝系、細胞表層の構築、鞭毛運動に関わる遺伝子がその候補であった。
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Research Products
(6 results)