2006 Fiscal Year Annual Research Report
ニューレグリン刺激依存的な細胞運動におけるコフィリンの活性制御機構の解明
Project/Area Number |
05J05058
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
千葉 秀平 東北大学, 大学院生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 細胞運動 / アクチン / コフィリン / LIMキナーゼ1 / Slingshot / ニューレグリン / 14-3-3 / NDR1 |
Research Abstract |
細胞移動にはアクチン骨格の柔軟な変化が必要であり、アクチン脱重合・切断因子であるコフィリンの活性が重要な役割を担っている。コフィリンの活性は3番目のセリン残基のリン酸化により負に制御されている。LIMキナーゼ1(LIMK1)はリン酸化によりコフィリンを不活性化し、Slingshot(SSH)は脱リン酸化してコフィリンを再活性化する。 SSH-1L活性抑制因子として同定した143-3はニューレグリン(NRG)刺激依存的なコフィリンとSSH-1Lの適時適所での活性化に必要であることが示唆される。これまでに143-3はSSH-1Lの2箇所のセリン残基のリン酸化依存的に結合し、SSH-1Lの活性を負に制御することを明らかにした。さらに、SSH-1Lと143-3の結合を制卸すると考えられるキナーゼを発現クローニング法により探索したところ、複数の上流キナーゼを同定した。これらのキナーゼについて種々のキナーゼ阻害剤およびRNA干渉法による解析を行っており、NRG刺激依存的な細胞運動においてSSH-1Lおよびコフィリンの活性化を負に制御するかどうかを検討していく予定である。 さらにLIMK1の不活性化を介したコフィリン活性化機構に着目し、LIMK1を不活性化することが報告されているLATSキナーゼと同じファミリーに属するNuclear Dbf2 relatedキナーゼ1(NDR1)とLIMK1の相互作用解析を行っている。今後、NDR1がLIMK1の活性を負に制御するか可能性や細胞外刺激依存的な細胞運動へのNDR1の関与について検証する予定である。また、NDR1の結合および活性化因子としてfunyを同定しており、これら一連の因子による新規のアクチン細胞骨格制御機構の解明を目指す。 本研究は細胞運動におけるSSH-1L、LIMK1を中心としたコフィリンの活性制側機構の総括的な理解を進めており、細胞外刺激依存的な細胞運動に留まらず細胞分裂、神経ガイダンスなどアクチン骨格の制御が関わる多くの機構の加速度的な解明に貢献するものであると考えられる。
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