2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J05063
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
杉島 正一 久留米大学, 医学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | X線結晶構造解析 / 構造生物学 / ヘム / 金属蛋白質 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
本研究はヘムの分解に伴って生じる様々な生理反応の解明を目的として行なった。ヘムの分解系は哺乳類ではヘムオキシゲナーゼ(HO)によるポルフィリン環の開裂とビリベルビン還元酵素によるビリルビンの生成の二段階からなる。HOによる環の分解は一酸化炭素の生成を伴う反応であり、生じた一酸化炭素はシグナル伝達物質として働くと示唆されている。その一つとして、NPAS2による体内時計の制御が考えられている。NPAS2はヘムを二分子含む蛋白質で、一酸化炭素の結合によるBMAL1との相互作用変化を通して機能する。ヒトNPAS2の全長およびヘム結合ドメインの大腸菌における大量発現系の構築を行なった結果、ヘム結合ドメインにおいては封入体に発現が確認されたものの、全長においては発現が確認されなかった。ヘム結合ドメインについて、封入体を可溶化し、巻き戻しを行なうことで、結晶化用試料を得たが、現在まで構造解析に適した結晶を得ることには成功していない。一方、光合成生物においては、ヘムの分解によりフィコビリンやフィトクロモビリンといった光合成色素や光受容色素が合成される。この代謝経路ではポルフィリン環の開裂によって生じたビリベルジンがフェレドキシン依存性ビリン還元酵素によって還元される。本研究ではシアノバクテリア由来HOの立体構造を明らかにし、哺乳類由来HOの立体構造と比較する事によって、それぞれのHOが還元蛋白質と特異的に相互作用するように最適化されていることを明らかにした。また、フェレドキシン依存性ビリン還元酵素(PcyA)の立体構造を世界に先駆けて明らかにし、その反応機構について詳細に検討した。
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