2005 Fiscal Year Annual Research Report
高次構造上への官能基集積よる増幅型分子認識システムの構築
Project/Area Number |
05J05143
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
春藤 淳臣 熊本大学, 工学部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 分子識別化学 / 配向性高分子 / 人工脂質 / シリカハイブリッド / 液体クロマトグラフィー |
Research Abstract |
本研究プロジェクトは新しいホスト-ゲスト化学を目指すもので,官能基を規則正しく集積化させた界面を創出し,優れた分子形状識別を引き出すことを目的としている。具体的には,配向構造転写型ホスト高分子を作製し,主に液体クロマトグラフィー(HPLC)を駆使してその分子形状識別能を評価する。 本年度は,脂質類似化合物として多重アンカーを側鎖にもつ新たな配向性モノマーを分子設計し,その高分子化を検討した。また,得られたポリマーを5μmのシリカ微粒子に固定化し,その配向特性を調査した。さらに,同固定化シリカをカラムに充填し,標準炭化水素類や多環芳香族類をゲスト分子としたHPLC測定により,分子識別能を調査した。得られた主な結果を以下にまとめる。 1.一本鎖脂質類似モノマー,ODAとトリメトキシシリル基を側鎖にもつモノマー,MPTSのラジカルコテロメリゼーションによって,新規配向性ホスト高分子(co-ODA_n, nはODAの平均重合度を示す)を得た。^1H-NMR測定より,組成比はODA : MPTS=16:2と算出された。 2.co-ODA_<16>の側鎖のトリメトキシシリル基を利用して,シリカに固定化した(sil-co-ODA_<16>)。元素分析および拡散反射型FT-IR測定により固定化が確認され,元素分析により固定化量は9.83wt%と算出された。 3.示査走査熱量分析(DSC)および懸濁^1H-NMR測定により,同ポリマーはシリカに固定化後,溶液中でも配向-ランダム構造間の相転移を示し,低温下で側鎖の運動性が抑制された配向構造を形成することが確認された。 4.sil-co-ODA_nを固定相としたHPLC測定を実施し,主鎖末端をシリカに固定化された配向性高分子(sil-ODA_n)と比較した結果,sil-ODA_nよりも約1.4倍の分子平面性識別能を示すことが明らかとなった。
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