2006 Fiscal Year Annual Research Report
X線CTを用いたトンネルの設計・施工の高度化に関する研究
Project/Area Number |
05J05159
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
高野 大樹 熊本大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | トンネル / 切羽安定 / X線CT / 非破壊検査 / 一面せん断 |
Research Abstract |
近年,都市部においてもNATMなどの山岳トンネル工法によるトンネルの構築が数多く見られるようになった.輻輳化が進む都市部においては既設構造物との近接施工も数多くみられ,切羽面の安定性を保つことは重要な課題といえる.低土被り,未固結地山など地盤条件が悪い場合は,安全なトンネル構築を行うために切羽面を補助工法により補強して掘削することがしばしば行われる.そこで,本研究ではX線CTを用い,各種補助工法の効果について検討を進めている. 昨年度の研究では,X線CTを用いたトンネル模型実験により数多くあるトンネル切羽面補助工法の中でも鏡ボルト工法に高い補強効果が期待できる結果が得られた.本年度は,この結果を踏まえより効果的な鏡ボルトの配置,打設角度を明らかにするために模型実験を行った.この結果,トンネル掘削方向に対し平行にボルトを打設するよりも,切羽面より放射状にボルトを打設するほうがより高い補強効果を得られることが明らかになった.これは,切羽崩壊時にできるトンネル周辺の緩み領域はトンネル切羽の中心より楕円状に広がりを持つ.この緩み領域の境界面つまりすべり面に対し法線方向にボルトを配置したためこのような結果が得られたと考えられる. これらX線CTを用いた小型模型実験と同条件において50Gの遠心場で実験を行った.これは,実際の低土被りトンネルが受ける応力レベルにおいてもX線CT実験と同様な破壊パターンが生じるか,また切羽にかがみボルトを打設することにより,破壊時の内圧及び破壊パターンがそれぞれどう変化するのか,ということの把握を目的に遠心模型実験を実施した.この結果,鏡ボルトの有無に関係なく,破壊形状はX線CT実験の結果と非常に酷似していることがわかった.「鏡ボルトなし」の場合はトンネル底部からクラウン部にかけて対数らせんに近い形状となりクラウン部付近から鉛直に進展し地表付近で拡がり大きな地表陥没が生じた.一方,「鏡ボルトあり」の場合には,破壊線がクラウン部付近から切羽手前に戻るような形で鉛直に進展し,比較的小さな地表陥没に抑制された.破壊時のトンネル内圧(支保圧)についても,ボルトがある場合の方がない場合に比べて約2.2kPa低く,鏡ボルトの内圧効果を定量的に把握することができた. また,これに加え,鏡ボルトの地山補強メカニズムについてより詳細に検討するべく,X線CT用の一面せん断装置を作成し,ボルト材により補強された砂供試体について一面せん断試験を行った.この結果,せん断が進むと同時に,供試体内で進行性破壊現象が起こっていることを確認し,ボルトの配置角度などでその出現パターンが違ってくることを確認した.
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Research Products
(1 results)