2006 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光イメージングによるmRNAスプライシングと核外輸送の生細胞内可視化
Project/Area Number |
05J05166
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
徳永 和明 熊本大学, 大学院自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 核スペックル / 蛍光イメージング / スプライシング / 阻害剤 |
Research Abstract |
真核細胞におけるmRNAの転写から細胞質への輸送過程は、複雑かつ精密なネットワークシステム下で行われている。mRNAの核外輸送はスプライシング反応と密接に連携して反応を進行させていることが示されており、この連携において非常に重要な役割を果たすと考えられているのが核スペックルである。核スペックルの機能を明らかにする目的で、核スペックルを阻害する天然化合物の同定を行った。同定した化合物の影響を蛍光イメージング用いて可視化することにより、生きた細胞内でのmRNA核外輸送とRNAプロセッシング因子との相互作用を解析することが可能となり、遺伝子発現の複雑かつ精密なネットワークシステムの解明につながると期待される。 天然化合物のスクリーニングには、東京微生物科学研究センターから分与していただいた放線菌培養上清を用いた。放線菌培養上清をHeLa細胞培養液に添加後、抗体染色を用いた蛍光イメージングによりスプライシング因子SF2の局在観察を行い、核スペックルの変化を観察した。これまでに、2016種の上清の一次スクリーニングを完了させ、スペックルの形成阻害活性の見られた候補上清15種を同定した。更にこれら15種の候補上清は、SC35、フィブリラリン、poly(A)RNAの局在にも影響することを確認した。これまでに同定した候補上清は、既知の薬剤処理した場合の影響とは異なっていたことから、候補培養上清内に核スペックルの形成を阻害する新規物質が含まれることが示唆された。これらの候補上清は、RT-PCRを用いてスプライシングパターンを解析した結果、3種の候補上清処理により、特定の遺伝子の選択的スプライシングパターンを変化させることを確認した。 今後は、蛍光標識mRNAをマイクロインジェクションし、核スペックルの局在変化とmRNA核外輸送を同時にリアルタイムに解析していく予定である。
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