2005 Fiscal Year Annual Research Report
HIV-1感染初期における細胞性免疫とHIV-1の免疫逃避機構の解明
Project/Area Number |
05J05172
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
藤原 守 熊本大学, エイズ学研究センター, 特別研究員(DC1)
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Keywords | HIV-1 / HIV-1特異的CTL / Nef / マクロファージ / CD4+T細胞 |
Research Abstract |
HIV-1感染初期に多くのHIV-1特異的細胞傷害性T細胞(CTL)が誘導されるが、HIV-1は完全に排除されることはない。これは、HIV-1がCTLの認識を免れる逃避機構を備えているためである。その一つに、NefによるHLAクラスIの発現低下が知られている。この発現低下は、HIV-1感染CD4^+T細胞に対するCTLの認識を低下させ、細胞傷害活性に影響を与えるが報告されている。一方、HIV-1感染マクロファージに対するCD8^+T細胞の認識とNefが抗原認識に与える影響については全く明らかにされていなかった。 本研究では、HIV-1特異的CTLクローンを用いて、Nef陽性HIV-1感染マクロファージ、及びHIV-1感染CD4^+T細胞に対する抗ウイルス活性を解析し、比較を行った。その結果、HIV-1特異的CTLクローンは、CD4^+T細胞よりマクロファージを標的とした時の方が、明らかに高い増殖抑制能と細胞傷害活性を示した。また、これら感染細胞でCTLを刺激すると、HIV-1感染マクロファージで刺激した時の方がHIV-1特異的CTLクローンを強く活性化し、明らかに高いサイトカイン産生と細胞増殖を誘導することができた。以上の結果から、HIV-1特異的CD8^+T細胞は、NefによるHLAクラスI発現低下の影響をほとんど受けることなく、非常に効率よくHIV-1感染マクロファージを排除できることが示唆された。また、HIV-1感染マクロファージはHIV-1感染CD4^+T細胞より多様なエピトープに特異的なCTLを活性化し、その増殖を誘導すると推察された。
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Research Products
(1 results)