2006 Fiscal Year Annual Research Report
HIV-1感染初期における細胞性免疫とHIV-1の免疫逃避機構の解明
Project/Area Number |
05J05172
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
藤原 守 熊本大学, 大学院医学教育部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | HIV-1 / HIV-1特異的CTL / Nef / マクロファージ / CD4T細胞 |
Research Abstract |
HIV-1は逃避機構を備えており、HIV-1特異的CTLはHIV-1を完全に排除することができない。逃避機構の1つにNefによるHLAクラスIの発現低下がある。この発現低下は、HIV-1感染CD4T細胞に対するCTLの抗ウイルス活性を低下させる。一方、HIV-1感染マクロファージ(MΦ)に対するCTLの認識とNefが抗原認識に与える影響については明らかにされていなかった。 HIV-1特異的CTLクローンを用いて、JRFL感染MΦ、及びNL-432感染CD4T細胞に対する抗ウイルス活性を比較した結果、CTLはJRFL感染MΦに対して高いウイルス増殖抑制能、細胞傷害活性、サイトカイン産生を示した。また、これら感染細胞でCTLを刺激すると、JRFL感染MΦで刺激したCTLは強く活性化され、高い細胞増殖を示した。更に、同じHIV-1株に感染したMΦとCD4T細胞を用いた実験でも同様の結果が得られた。このことから、HIV-1感染MΦにおいて、HLAクラスI発現低下がCTLの抗原認識に与える影響はHIV-1感染CD4T細胞と比較して著しく低下することが明らかとなった。 次に、HIV-1感染MΦ及びCD4T細胞中のウイルス抗原量を比較した結果、HIV-1感染MΦに明らかに多くのウイルス抗原が細胞質中に存在することを見出した。このことから、HLAクラスIの発現が低下してもCTLの認識に十分な特異的抗原がHIV-1感染MΦ表面に提示されることが推察された。 本研究は、HIV-1特異的CTLが、NefによるHLAクラスI発現低下の影響をほとんど受けることなく、効率的にHIV-1感染MΦを排除できることを示唆した。また、HIV-1感染MΦはより多様なエピトープに特異的なCTLの増殖を誘導可能なことから、HIV-1感染初期においてHIV-1特異的CTLの維持に重要な役割を果たしている可能性を示唆した。
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Research Products
(1 results)