2007 Fiscal Year Annual Research Report
HIV-1感染初期における細胞性免疫とHIV-1の免疫逃避機構の解明
Project/Area Number |
05J05172
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
藤原 守 Kumamoto University, 大学院・医学教育部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | HIV-1 / HIV-1特異的CTL / Nef / マクロファージ / 樹状細胞 |
Research Abstract |
HIV-1は逃避機構を備えており、HIV-1特異的CTLはHIV-1を完全に排除することができない。逃避機構の1つにNefによるHLAクラスIの発現低下がある。この発現低下は、HIV-1感染CD4T細胞に対するCTLの抗ウイルス活性を低下させる。一方、T細胞への抗原提示に重要な役割を果たしている樹状細胞やマクロファージにおいては、これら感染細胞に対するCTLの認識とNefが抗原認識に与える影響についてはほとんど検討されていない。そのため、HIV-1感染初期における細胞性免疫応答やHIV-1の逃避機構については明らかではなかった。 1.健常人由来の単球から樹立し、HIV-1に感染させた樹状細胞に対するHIV-1特異的CTLの抗ウイルス活性を解析した。その結果、HIV-1感染CD4T細胞よりもHIV-1感染樹状細胞に対して高い細胞傷害活性が認められた。つまり、マクロファージと同様に樹状細胞においては、NefによるHLAクラスI抗原発現低下はCTLの抗原認識と抗ウイルス活性にほとんど影響を与えないことが明らかとなった。このことは、生体内においてHIV-1特異的CTLはHIV-1感染マクロファージと感染樹状細胞を効率的に認識し排除し得ることを示唆している。 2.健常人由来の単球から樹立した樹状細胞にHIV-1由来抗原を提示させ、CD8陽性T細胞と混合培養することによってHIV-1 Nef由来抗原に特異的なCD8陽性T細胞を誘導することができた。しかし、細胞中に占める割合が低く、クローンを樹立することはできなかった。今後、健常人由来のCD8陽性T細胞からHIV-1特異的CD8陽性T細胞を樹立する方法をさらに検討することによって、HIV-1感染初期に抗原提示細胞の違いによってどのようなT細胞レセプターを持ったCTLが選択的に増殖してくるのかを詳細に解析することができると期待される。
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Research Products
(4 results)