2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J05188
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
渡邊 誠 広島大学, 大学院教育学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 日宋貿易 / 日本古代対外関係史 / 平安時代 / 中国宋代 |
Research Abstract |
本年度は日宋貿易の研究を、素材となる史料の収集・整理を進める目的で以下の通り実施した。 (1)日本の史料については、院政・鎌倉期の公卿の日記、及び平安遺文・鎌倉遺文所収古文書からの関係史料の収集・整理を進めた。その成果として、平安貴族の懐く対外意識のあり方とその変化を10-12世紀にわたってまとめ、公表した。また、昨年度から継続してして釈読を進めている未刊行史料『兼仲卿記』(国立歴史民俗博物館所蔵)に加え、同じく未刊行の院政期重要史料『愚昧記』(東京大学史料編纂所等所蔵)の釈読作業を行い、関連史料の収集に当たった。この作業は次年度も継続する予定である。 (2)宋代を中心と、した東・東南アジア間貿易に関する史料について、正史・編年史・地誌・各種文集から史料の収集を進めた。その成果として、平安末期の日宋間交渉の背景として、中国における南宋・金王朝の対立による軍事問題があったことを明らかにし、公表した。また今後は、収集した史料に基づき、比較史の視点も導入して宋を中心とする貿易のおり方を検討する予定である。 (3)日宋貿易の研究と並行して、その背景となる日本社会の政治・経済史、特に国家財政の解明に取り組むため、貿易関連史料の収集と同時に、財政関係史料の収集・整理を進めた。その成果として、日宋貿易における主要な輸入品の一つである渡来銭の初期の流入形態について、国家の財政政策との関連を追及し、口頭発表を行った。また、平安期の財政史研究についても、今度整理・解明を進めていく予定である。 以上の史料収集・整理作業の結果を踏まえ、3年度日となる来年度は収集史料の分析を進め、日本を中心とした平安期の東アジア間貿易像の総合化を進めていきたい。
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Research Products
(1 results)