2006 Fiscal Year Annual Research Report
地質時代の海洋化学環境の復元:海成石灰岩に記録された古代海水の希土類元素存在度
Project/Area Number |
05J05208
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田中 万也 広島大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 石灰岩 / 希土類元素 / 古代海水 / XAFS / 炭酸カルシウム |
Research Abstract |
本研究課題を進めるために本年度は以下の点に関して重点的に研究を行った。 1.固相-液相間におけるYとHoの分別と局所構造の関係の解明 希土類元素の中でもYとHoは類似の配位数とイオン半径を持つことから、天然試料中のそれらの存在度はしばしば比較して議論される。多くの火成岩や珪酸塩堆積物にはY-Ho分別は認められないが、海水、石灰岩、鉄マンガン酸化物ではY-Ho分別が起こっていることが多くの研究者によって報告されている。また、固相-液相間の分配過程においてY-Ho分別が起こることが実験的に明らかにされている。そこで、Y-Hoを添加したカルサイト、水溶液などの様々な物質のXAFS測定を行い、それぞれにおけるYとHoの配位数及び最近接酸素原子との原子間距離を求めた。その結果、個々の物質におけるY-OとHo-O原子間距離には違いが認められなかった。しかし、固相と液相のY-O, Ho-O原子問距離を比べると、分別が起こらない系では違いがほとんどないのに対して、分別が起こる系では違いがあることが明らかとなった。この研究成果については論文原稿にまとめ、現在学術雑誌に投稿中である。 2.温泉性炭酸カルシウムと温泉水の間の希土類元素分配 炭酸カルシウムには結晶形の異なるカルサイトとアラゴナイトがある。天然におけるカルサイトはアラゴナイトに比べて希土類元素を10^2〜10^3倍程度濃縮している。これら炭酸カルシウムの希土類元素の取り込み過程を解明することは、炭酸カルシウム試料から古代海水の希土類元素存在度を推定する上で必要不可欠である。このような希土類元素取り込み過程を直接観察するために池田鉱泉(島根県)からカルサイト及び共存水試料、長湯温泉(大分県)からアラゴナイト及び温泉水を採取し、希土類元素の分析を行った。今後さらに調査・分析を行い、フィールドと室内実験の両方からアプローチしていく予定である。
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Research Products
(2 results)