2005 Fiscal Year Annual Research Report
上皮細胞が産生する抗菌ペプチドと歯周病原性細菌の相互作用に関する研究
Project/Area Number |
05J05225
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
應原 一久 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 抗菌ペプチド / 歯周炎 / 外膜タンパク |
Research Abstract |
上皮細胞は、細菌感染防御の最前線を担っている。また歯周炎は口腔内の歯肉上皮細胞と歯周病原性細菌の相互作用の結果、歯周組織の破壊をきたす感染症である。本研究の目的は、上皮細胞において、細菌の侵入によって惹起される生体防御反応の成立に、抗菌ペプチドがどのような役割を担っているのかを明らかにすること、そしてこれらの抗菌ペプチドを歯周炎を含めた感染症治療薬として臨床応用に向けての基礎的な研究を行うことである。 本年度は細菌側をターゲットとした抗菌ペプチドの機能解析を行い、以下の知見を得た。 1.A.actinomycetemcomitans外膜タンパクOmpを精製し、ヒト歯肉上皮細胞(HGEC)に接触させたところ抗菌ペプチドhBD2の誘導が認められた。また大腸菌の菌体表層にこれらのOmpを発現させ、HGECと大腸菌を接触させたところ、hBD2の誘導が認められた。よってOmpが抗菌ペプチドhBD2の誘導因子であることが明らかになった。またOmpが歯周炎の進行過程で産生されるサイトカインも誘導することを明らかとした。 2.抗菌ペプチドに対する感受性に関与する細菌の因子を解明するために、A.actinomycetemcomitansのトランスポゾン挿入遺伝子変異株のライブラリーを作製した。 3.抗菌ペプチドと細菌の相互作用を検討するためにHeLa細胞に抗菌ペプチド遺伝子を導入した、強発現細胞株を作製し、その培養上清からhBD2の精製に成功した。 以上の結果をふまえ、来年度は今年度に引き続き、A.actinomycetemcomitansのトランスポゾン挿入遺伝子変異株のライブラリーを用いて、抗菌ペプチド誘導因子となる細菌表層構築成分の解明、および抗菌ペプチドに対する細菌の感受性に影響を与える因子についての解析を行い、さらに抗菌ペプチドの誘導に関与する細胞表層のレセプターと細胞内シグナル伝達経路を明らかにしていく予定である。
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Research Products
(4 results)