2005 Fiscal Year Annual Research Report
潜在・顕在記憶における触覚と視聴覚の通様相性に関する研究
Project/Area Number |
05J05255
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鍋田 智広 広島大学, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 異種感覚様相間転移 / 虚偽記憶 / 触覚記憶 |
Research Abstract |
本年度は,潜在記憶と顕在記憶における異種感覚問の通様相性の研究を進めるために,触覚と視覚・聴覚を用いた記憶の実験研究を以下のとおりに実施した。具体的には,覚えていない事柄を覚えたと勘違いする虚偽記憶を用いて,複数の感覚様相に共通のメカニズムの一般性を調べるために,物体と言語という異なる種類の刺激を用いた2つの研究を行った。 1,言語刺激を用いて顕在的記憶における触覚と聴覚の通様相性を明らかにする 顕在的記憶である虚偽記憶において触覚と聴覚の通様相性を調べた。その結果,覚えるときと思い出すときとで同じ感覚で呈示することによって少なくなる一致効果が聴覚では生じないが,触覚で生じることを示し,触覚と聴覚の固有性を示した。 2,物体刺激を用いて顕在的記憶における触覚と視覚の通様相性を明らかにする 虚偽記憶における触覚と視覚の通様相性について,一致効果が触覚と視覚の両方で生じることを示し,触覚と視覚が通様相性をもつことを示した。 これらの研究成果は海外の学術誌(Memory, The European Journal of Cognitive Psychology)および国際学会(46th Annual Meeting of the Psychonomic Society)で発表した。これらの研究から,触覚と視覚は顕在記憶において通様相性をもつ一方で,触覚と聴覚は顕在記憶においては固有の情報を表象していることが示唆された。このような研究をふまえ,最終年度となる来年度は聴覚を加えた研究を行い,潜在記憶における触覚と視覚および触覚と聴覚の通様相性,を調べることで,感覚様相間の通様相性についての検討を進めたい。
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Research Products
(1 results)