2006 Fiscal Year Annual Research Report
潜在・顕在記憶における触覚と視聴覚の通様相性に関する研究
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05J05255
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鍋田 智広 広島大学, 大学院教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 異種感覚様相間共通性 / 虚再認 / 触覚記憶 |
Research Abstract |
本年度は,触覚を中心として,視覚と聴覚との関係を調べるための実験プロジェクトを遂行した。すなわち,触覚と視覚・聴覚との異種感覚間の通様相性を以下の研究をから検討した。具体的には,虚再認という潜在的・顕在的な記憶メカニズムを反映した現象を指標に用いて,これらが複数の感覚様相間でどのように転移するかを検討することによって異種感覚モダリティ間での共通のメカニズムを明らかにした。 そこで,学習と再認テスト間で刺激の呈示モダリティを触覚・視覚・聴覚で系統的に操作して虚再認を調べた。その結果,すべてのモダリティにおいて,学習時と再認テスト時で感覚モダリティが一致の場合には,不一致の場合よりも意味的な虚再認が抑制されることを示した。この結果は感覚モダリティが一致すると意味的虚再認を抑制させる触覚・視覚・聴覚といったモダリティに固有の記憶が転移したことを表している。このような結果は物体を刺激として用いた場合だけでなく,言語材料を刺激として用いた場合にも認められた。すなわち,これらの研究結果は,モダリティ固有の記憶による虚再認の抑制は触覚・視覚・聴覚のすべての記憶において共通する一般的なメカニズムを介して生じることが明らかになった。また,発展的な研究として,虚再認を媒介する記憶メカニズムの成立を調べるために,幼児を対象とした発達心理的な研究を行った。その結果,5歳以下の幼児であっても虚再認が生じること,さらに知覚的記憶を検索することによって虚再認を抑制させることが明らかになった。 これらの研究成果は本年度発行された海外の学術誌(Memory, The European Journal of Cognitive Psychology),及び基礎心理学会で発表した。発展的研究の成果は,本年度に開催された認知心理学会,及び発達心理学会で発表した。
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Research Products
(4 results)