2005 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理シミュレーションによるナノ構造化グラファイトの水素吸蔵機構の解明
Project/Area Number |
05J05276
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
原田 晶子 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | グラファイト / 水素吸蔵 / 分子動力学シミュレーション / 第一原理 / ナノ構造 |
Research Abstract |
グラファイトを水素雰囲気中でミリング処理して得られる物質(ナノ構造化グラファイト)は、7.4重量%の水素を吸蔵する特性があることが実験から報告されている。また、吸蔵された水素は700K,950K付近で放出されることが昇温脱離実験などから報告されているが、水素吸蔵・放出のミクロな機構は明らかになっていない。本研究は、第一原理分子動力学シミュレーションを用いて、ナノ構造化グラファイトへの水素吸蔵及び放出のメカニズムを明らかにすることを目的として行った。 本年度は、ナノ構造化グラファイトからの水素放出、特に温度950K付近での水素放出過程について調べるため、以下の通り研究を行った。 1.水素を吸蔵したナノ構造化グラファイトのモデルとして、グラファイトのアームチェアエッジに水素原子が結合したモデルを構築した。このモデルに対して第一原理分子動力学法を適用し、950K付近で観測されているグラファイト再結晶化のシミュレーションを行った。その結果、エッジ部分に結合していた水素原子は再結晶化によりグラファイト層間に、層に垂直に結合することを示した。 2.温度2000Kにおいて更にシミュレーションを行い、水素原子がグラファイト面から脱離し水素分子を形成するという結果を得、グラファイトからの水素分子脱離の素過程を明らかにした。 また、電子状態の解析から、水素原子がダイマーを形成して脱離する際には、炭素-水素-水素-炭素間の結合の強さがほぼ同程度になる'bridge state'を経由することを明らかにした。 これらの結果をもとに、来年度は他の水素吸蔵状態(メチル基、メチレン基として吸着した状態など)についてもモデルを構築してシミュレーションを行い、ナノ構造化グラファイトの水素化特性の統一的な理解を目指す。
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Research Products
(1 results)