2006 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌におけるp27タンパクの異常分解機構の解明と治療への応用に関する研究
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05J05316
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
北島 正二朗 広島大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 細胞周期 / ユビキチン / リン酸化 / APC |
Research Abstract |
口腔癌において、Skp2の過剰発現がp27タンパクの分解を促進することから、その過剰発現機構を明らかにするために、Skp2のユビキチン分解に関与するAPCユビキチンリガーゼ複合体に着目した。本年度は、その代表的基質であるAurora-Aタンパクの分解機構を調べることで、これをモデルとし、癌でのAPCによるSkp2のユビキチン化異常および過剰発現機構と、その結果生じるp27タンパクの異常分解との関係を明らかにすることを目的として以下の研究を実行した。 Aurora-Aは、細胞分裂期に51番目のセリン残基がリン酸化されることで、APCによる分解を受けないことを、変異体や特異的リン酸化抗体を用いた解析により明らかにした。さらに、Aurora-Aを過剰発現する口腔癌細胞のうち、半減期の延長や分解異常がみられた細胞で、51番目のセリン残基の恒常的なリン酸化がみられたことから、1)細胞分裂期で生じるリン酸化により、Aurora-Aタンパクが安定化されること、2)癌においてはこのリン酸化制御の異常が生じて、その結果過剰発現につながっていることを明らかにした。また、Skp2の過剰発現する細胞では、分解異常がみられることやSkp2タンパクがリン酸化されていることを明らかにしたことから、Skp2にも同様のリン酸化制御・過剰発現機構が存在している可能性も示唆された。 次に、昨年度に続き、APCの活性を抑制する因子であるEmi1の、細胞周期依存的な発現について調べた。Emi1はある種の口腔癌細胞株においてタンパクの安定化が生じており、その結果としてSkp2を含むAPCの基質の分解異常によるタンパクの蓄積が認められた。癌細胞でみられた分解異常に起因するEmi1の過剰発現は、多くのAPCの基質の過剰発現を招き、Skp2過剰発現の機序の1つであることが示唆された。 これらの結果をふまえ今後は、タンパクの安定化と関係したSkp2のリン酸化制御の詳細と、癌でのリン酸化調節の異常、また、Emi1過剰発現の結果生じるSkp2の過剰発現によるp27の発現低下機構についてさらに検討を進めたい。
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Research Products
(3 results)