2005 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌におけるp27タンパクの異常分解機構の解明と治療への応用に関する研究
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05J05316
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
北島 正二朗 広島大学, 医歯薬学総合研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | p27 / Skp2 / APC-Cdh1 / ユビキチン / プロテアソーム / Aurora-A / 細胞周期 / Emi1 |
Research Abstract |
我々はこれまでに、口腔癌におけるp27の分解異常分にSkp2の過剰発現が深く関わることを明らかにしてきたが、Skp2の過剰発現した口腔癌細胞では、タンパクの半減期が長いことやskp2がAPC-Cdh1ユビキチンリガーゼにより分解されることから、Skp2の過剰発現にその分解機構の異常が関与するのではないかと考えた。そこで、本年度は、この仮説を証明するために、Skp2の過剰発現を示す口腔癌細胞を用いて、以下のような検討を行った。 1.Skp2やApc-Cdh1そのものの異常による分解異常 Skp2のN末端にあるD-BoxおよびCdh1の結合領域、APC複合体を構成する因子(APC1-APC11)の全長、Cdh1の全長をシークエンスし、遺伝子変異の有無を検討した。その結果、いずれの細胞においても変異はみられず、Skp2の過剰発現は、Skp2やAPC-Cdh1の遺伝子変異にはよらないことが明らかとなった。 2.APCの阻害因子であるEmi1の過剰発現によるSkp2の分解阻害 口腔癌細胞におけるEmi1の発現を検討したところ、いずれの細胞においてもEmi1の過剰発現が認められたが、Skp2の発現量との間に相関関係はみられなかった。 3.Skp2のリン酸化と分解抑制 正常の細胞では、Skp2は分解される際に脱リン酸化を受けユビキチン化されるが、口腔癌で過剰発現したSkp2は恒常的にリン酸化されていることから、そのリン酸化が分解を阻害するのではないかと考えられた。現在は、Skp2をリン酸化するキナーゼと脱リン酸化するフォスファターゼを検索中である。また、最近、同じくAPC-Cdh1によって分解を受けるAurora-Aがリン酸化を受けることで安定化するという報告があった。そこで我々もAurora-Aの半減期や、プロテアソーム阻害剤処理に対するタンパクの蓄積を調べたところ、Skp2でみられたのと同様に、口腔癌のいくつかの株で半減期の延長やタンパクの分解異常が観察された。これらのことから、口腔癌ではG1期においてなんらかの脱リン酸化異常が生じ、その結果、Skp2やAurora-Aをはじめとする癌遺伝子産物の安定化が引き起こされていることが示唆された。これらの結果をふまえて来年度は、比較的研究の進んでいるAurora-Aのリン酸化による分解抑制機構を明らかにすると同時に、Emi1過剰発現を含めたSkp2の分解異常による過剰発現機構を明らかにしたい。
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Research Products
(1 results)