2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナミテントウにおける雄殺し微生物の進化維持機構に関する研究
Project/Area Number |
05J05317
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中村 佳代 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ナミテントウ / 雄殺し微生物 / 発育期間 / 蛹重 / 感染コスト |
Research Abstract |
本年度は雄殺し微生物の感染によるコストを明らかにするために,発育期間と蛹重の測定を行った. ナミテントウの感染系統の雌と別の系統の雄を交尾させ産卵させた.1週間以上,産卵させた後,雄殺し微生物を抜くために感染系統の雌に抗生物質のテトラサイクリン塩酸塩を与えた.その後,産卵させ,テトラサイクリン塩酸塩を与える前と同様に卵塊を得た.テトラサイクリン塩酸塩を与える前後に得た各々の卵塊を1卵ずつに分け,シャーレで個別飼育を行った.餌不足を回避するために,艀化前からアブラムシをシャーレに入れ,その後,毎日,アブラムシを十分に与えた.艀化日から羽化日までの日数を発育期間とした.また蛹化した翌日に蛹重を測定した.感染系統から得た雌の発育期間と蛹重について,テトラサイクリン塩酸塩処理前後を要因とし,分散分析を行った.非感染系統から得た雌についても同様に解析を行った.また,テトラサイクリン塩酸塩処理前後と系統の交互作用効果を求めた. 発育期間は感染系統ではテトラサイクリン塩酸塩処理前に比べ,処理後の方が短かった(P=0.010).それに対し,非感染系統では処理後の方が長かった(P=0.010).テトラサイクリン塩酸塩処理前後と系統の交互作用効果は有意であった(d.f.=184,F=24.448,P<0.001>.蛹重は感染系統ではテトラサイクリン塩酸塩処理後に増加した(P=0.001)が,非感染系統では処理後に減少した(P=0.001).テトラサイクリン塩酸塩処理前後と系統の間に有意な交互作用効果が見られた(d.f.=184,F=13.887,P<0.001).したがって,雄殺し微生物は宿主であるナミテントウに負の影響を与えていることが明らかになった.
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