2007 Fiscal Year Annual Research Report
強相関単体金属の準粒子状態の定量解析:放射光励起による高分解能角度分解光電子分光
Project/Area Number |
05J05350
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
東口 光晴 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 角度分解光電子分光 / 放射光 / Au / Shockley準位 / フェルミ面 |
Research Abstract |
本年度は、Au(110)に存在するShockley準位について放射光励起の高分解能角度分解光電子分光実験を行った。また放射光の直線偏光特性を利用する新しい高分解能光電子分光装置の設計を完了し、製作に移った。以下、詳細を記述する。 1.Au(110)にはmissing rawと呼ばれる表面原子が線状に欠損する特異な表面再構成が存在する。本研究では表面Brillouin域のY^^-点に存在するShockley準位を放射光励起角度分解光電子分光を用いて詳細に調べた。その結果、分散関係及びフェルミ面の形状を初めて明らかにすることができた。分散関係からは、フェルミエネルギー、有効質量、フェルミ波数を決定した。また、フェルミ面の形状が楕円であることを明らかにした。Au(111)面のShockley準位や他の貴金属のShockley準位と比較することにより、貴金属のフェルミ面形状は、Shockley準位が存在するL点のバルクバンドギャップの形状と密接に関係していることを明らかにした。 2.放射光の偏光特性を積極的に利用するとフェルミ面を構成する波動関数の対称性を議論できる。私たちは電子エネルギー分析器を放射光の偏光面に対して回転させることにより、直線偏光特性を積極的に利用する新しい高分解能角度分解光電子分光装置を建設中である。本年度、私は測定槽および試料準備槽の図面を完成させ、製作に移ることができた。本年度末までに製作品が納品され、来年度以降、立ち上げ、偏光特性実験を開始する予定である。
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Research Products
(16 results)