2005 Fiscal Year Annual Research Report
海洋の物質循環と微生物多様性に関する分子生態学的研究
Project/Area Number |
05J05361
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
谷口 亮人 広島大学, 大学院・生物圏研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 海洋細菌 / 増殖活性 / プロモデオキシウリジン / 濃度勾配ゲル電気泳動法 |
Research Abstract |
これまでに沿岸域である瀬戸内海(広島湾、豊後水道)、日向灘、及び外洋域である西部北太平洋の試料についてBrdU/DGGE解析を行った。その結果、沿岸域において、全体の細菌群集構造は広島湾、豊後水道、日向灘という海域の違いで大きく異なるのに対し、増殖速度の速い細菌群は海域の違いにもかかわらずその群集構造が似ているということが分かった。これは一部の増殖速度の速い細菌群が沿岸域の物質循環に大きく関与しているということを示唆する。一方、外洋域では、全体の群集構造及び増殖速度の速い細菌群集構造ともに、亜寒帯海域から亜熱帯海域にかけての水塊の違いにより、その群集構造が大きく変化することがわかった。また、増殖速度の速い細菌群の内、Vibrio、Alteromonas、uncultured gram-positive bacteriaに近縁なグループは、亜熱帯海域においてのみ増殖速度の速い細菌群として特定した。沿岸域、外洋域ともに増殖速度の速い細菌群として、Roseobacter、Cytophagaに近縁なグループを特定した。これらの細菌群は、海洋全体の物質循環に大きく関与するkey playerであることが示唆された。これらの一連の成果は、瀬戸内若手会、第20回日本微生物生態学会、DOBIS国際シンポジウム、箱根国際ワークショップにて発表した。また、2004年度に採集した北海道サロマ湖、岩手県大槌湾の試料はDNA抽出を完了しており、現在解析を進行中である。 また、2005年度の5月に京都大学生態学研究センターとの共同研究としてメソコスム実験を行い(東京大学海洋研究所附属国際沿岸海洋研究センターにて)、7月に広島大学附属練習船豊潮丸で瀬戸内海、対馬沖、また10月にスロベニア国立生物学研究所との共同研究でアドリア海(地中海)にて試料採集を行い、3月に創価大学・北海道東海大学との海氷生態系共同調査に参加し、試料採集を行った。これらの試料についても同様に、BrdU/DGGE解析を行う予定である。
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