2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J05400
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
鈴木 悠哉 横浜国立大学, 大学院・国際社会科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 国際租税法 / 国際租税秩序 / タックス・ヘイブン対策税制 / CFC税制 / 国際的租税回避対抗措置 / 租税条約 / 租税条約と国内法の関係 / セイビング・クローズ |
Research Abstract |
1.タックス・ヘイブン対策税制という国内法が国際租税秩序の文脈において得る法的評価を検討すべく、本年度は当初の研究実施計画に従い、タックス・ヘイブン対策税制の法的性質を以下の二つの観点から検討した。 (1)制度趣旨:国際的租税回避に対する対抗措置か、又は海外留保所得に対する合算課税制度か。 (2)法的擬制の性質:外国企業の法人格を否認することによる所得合算か、又は当該外国企業が配当を行ったとした上での当該配当に対する課税か。 検討の結果、日英両国の制度は以上のいずれの観点からも説明できる、という結論に到達した。 2.租税条約に関する検討の一部を本年度において行った。以下の二点である。 (1)自国居住者に対する租税条約の影響を検討した。OECD(経済協力開発機構)は2003年のモデル租税条約に関するコメンタリーにおいて、タックス・ヘイブン対策税制と租税条約との間には抵触が存在しない、との見解を表明した。2005年のコメンタリーにおいても同様である。この見解は、租税条約が、自国居住者に対する自国の国内法に基づく課税を制限しない、という原則を根拠としている(1996年に米国財務省が公表したモデル租税条約の1条4項は、この原則を規定している。当該規定はセイビング・クローズという)。もっとも、この見解に反対意見を表明している加盟国も存在する。 (2)英国、フランス及びフィンランドにおいて研究課題と関連した先例が存在するので、当該先例を検討した。英国及びフィンランドのいずれの裁判例も、タックス・ヘイブン対策税制と租税条約との間には抵触が存在しない、と判示した。一方、フランスの国務院は下級審の判断を覆し、フランスのタックス・ヘイブン対策税制と対スイス租税条約との間には抵触が存在する、と判示した。 3.なお、研究課題に関し、2005年8月25日、鳥飼総合法律事務所において、実務家と意見交換を行った。
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Research Products
(3 results)