2005 Fiscal Year Annual Research Report
T-matrix理論を用いた励起状態の第一原理計算
Project/Area Number |
05J05407
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
野口 良史 横浜国立大学, 大学院・工学府, DC2
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Keywords | 第一原理計算 / 励起状態 / ダブルイオン化エネルギー / ダブルエレクトロンアフィニティ / グリーン関数 / T-matrix理論 / 全電子混合基底法 |
Research Abstract |
既に提出済みの研究計画書に従い、本年度はT-matrix理論を用いて物質の励起状態を第一原理計算により扱うことを目標とし、プログラムを作成し、原子や分子に対して計算を行った。このグリーン関数を用いた計算手法は現在一般的に用いられている密度汎関数理論の枠組みを超えた手法であり、正確に励起状態を扱うことができる。中性のシステムから二つの電子を取り去るときに必要なエネルギーとして定義されるダブルイオン化エネルギー、またその逆過程として二つの電子を取り付けるときに必要となるエネルギーであるダブルエレクトロンアフィニティの計算にT-matrix理論を適応した。これら二電子励起状態は二つの粒子間に強いクーロン反発力が働くために、単純に第一イオン化エネルギーを2倍あるいは電子親和力を2倍しただけでは求めることはできず、二粒子の描像を用いることが要求される。つまりこの二粒子励起状態を正確に取り扱うためには短距離のクーロン反発力を正確に評価する必然となる。無限次までの梯子図形であるT-matrixは短距離の相互作用を正確に記述することができる。T-matrixにより得られたダブルイオン化エネルギー、ダブルエレクトロンアフィニティは実験値をよく再現する。T-matrix理論を用いて実際の物質のダブルイオン化エネルギー、あるいはダブルエレクトロンアフィニティの計算を行ったのは世界で初めてのことであり、これらの結果は学会や論文などで発表済みである。
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Research Products
(3 results)