2006 Fiscal Year Annual Research Report
高密度光記録材料における非破壊読み出し法への不斉情報の適用の研究
Project/Area Number |
05J05424
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
谷 泰 横浜国立大学, 大学院・工学府, 特別研究員DC2
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Keywords | フォトクロミズム / ジアリールエテン / ヘリセン / 光記録 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、[3]ヘリセン骨格を持つキラルジアリールエテンの合成・物性評価を行なった。アリリックストレインと呼ばれる立体反発効果によって光学活性置換基周辺の配座を制御し、引き続く置換基と対面する芳香環との立体反発および静電反発によって、分子金体のらせん配座を制御することができる。この配座制御された状態に紫外光を照射すると、同旋的に閉環する結果、生成可能な二つのジアステレオメリックな閉環体のうち、一方が過剰(約90%de)に生成した。この閉環体は大きな比旋光度を示す[5]ヘリセン構造を持つため、光照射に伴って約950度と大きく比旋光度が変化した。しかし前年度の研究では、最終生成物のカップリング反応が適切に進行せず、わずかな量しか得られなかった。本年度では、条件を詳細に検討した結果、収率の向上を達成することができ、その合成経路を確立した。この合成法は類似の骨格を持つ化合物に適用可能であった。 前年度の結果からジアステレオ選択性の低下が判ったため、この骨格では旋光度増加に必要である芳香環の増加は見込めなかった。そこで、パーフルオロシクロペンテン環に対する、一方の芳香環の接続位置をこれまでの3位から2位へと変更し、芳香環を延長可能にした。このままではやはりジアステレオ選択性が低下することが判っていたため、光学活性置換基を二つ持つ、対称構造とすることとした。この場合、立体反発および静電反発は、これまでと同様に置換基と芳香環の間に働くと同時に、同じ立体構造を持つ二つの置換基間でより強く働くことが予想された。このようなジアリールエテンを合成したところ、98%という非常に高いジアステレオ選択性を示し、比旋光度変化は、これまでで最も大きい1430度に及んだ。また合成経路も非常に簡便になった。これらの結果を、2006年光化学討論会および2007年日本化学会第87春季年会にて報告した。
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Research Products
(1 results)