2005 Fiscal Year Annual Research Report
生細胞内可視化による植物プロトプラストのカロース繊維形成と細胞分裂制御機構の解明
Project/Area Number |
05J05433
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
福元 健志 横浜国立大学, 大学院・環境情報学府環境生命学専攻・特別研究員(博士後期3年)
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Keywords | プロトプラスト / カロース / カラマツ / 針葉樹 / 繊維 |
Research Abstract |
先行研究において、高濃度塩処理培養下でカラマツプロトプラストが繊維状構造を生産する事が発見された。研究代表者は、この繊維状構造がカロースからなる事を酵素学的手法によって証明すると共に、マイクロマニピュレーション技術と共焦点レーザー顕微鏡および原子間力顕微鏡の観察手法を組み合わせる事により、世界に類を見ないカロース繊維状構造の下部構造について明らかにした。また、上述の研究成果を投稿論文として発表した。一方、本年度の研究計画としていたカラマツ不定胚形成細胞(Embryogenic cells ; ECs)への遺伝子導入法開発には至らなかったが、当初の目標としたプロトプラスト培養系の効率化によるカロース繊維生産の向上を達成した。以下に詳細を記す。 カロース繊維生産機構を明らかにする為の第一段階として、プロトプラスト単離および培養の効率化を行った。すなわち、プロトプラスト化の材料として用いるカラマツECsの培養維持培地に添加するグルタミンを増加させることにより、細胞塊が小型化した細胞株の樹立を達成し、プロトプラスト化に要する時間、および単離時に必要なペクトリアーゼY-23の濃度を、それぞれ1/6、1/5とした。さらに、得られたプロトプラストの培養条件(最適塩類、糖類条件(ショ糖およびマンニトール添加)、培地pH)を検討し、従来法に比べ、繊維の生産効率を3倍に向上した。一方、グルタミン処理濃度の増加によるカラマツECsの小型化要因について検討する過程で、カラマツECsの細胞壁には高度にメチルエステル化したペクチン質が多量に存在する事を示唆した。ペクチン質はCa^<2+>などの2価のイオンによって架橋されることから、カラマツECsにEGTAを前処理し、プロトプラスト化に用いた。その結果、さらにプロトプラスト化が促進される事を明らかにした。 現在、細胞内可視化ベクターの構築を目指すと共に、カラマツECsの遺伝子導入法について、レポーター遺伝子を用いて検討中である。また、これまでの研究成果については、2006年度に参加予定の国際学会において発表予定である。
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Research Products
(1 results)