2005 Fiscal Year Annual Research Report
フォトニック微小レーザの極限的な高性能化と自然放出制御
Project/Area Number |
05J05439
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
野崎 謙悟 横浜国立大学, 大学院・工学府, 特別研究員(DC1)
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Keywords | フォトニック結晶 |
Research Abstract |
フォトニック結晶を用いた微小レーザは極低しきい値動作に加え,自然放出制御や光-電子強結合状態といった共振器QEDに関する新しい物理を生むと期待されている.申請者はフォトニック準結晶など周回モードを基本とする微小共振器をこれまで実証してきたが,今年度はフォトニック結晶を含むあらゆる構造における極限的な自然放出制御の発現を目指し研究を行ってきた.まず,低温加工によるレジストマスクからの直接パターン転写可能なヨウ化水素系のエッチングを最適化し,GaInAsP平板スラブと周期円孔列で構成されるフォトニック結晶レーザの高精度な製作を実現した.これにより円孔位置を微小に移動させた格子シフト型共振器レーザにおける精密な構造調整を行い,光波1周期分程度の理論上最小のモードによるレーザ発振を初めて観測した.10台以上のパソコンのネットワーク化により可能となる大規模かつ精密な3次元モデルを想定した時間領域差分計算により,その発振モードが実際に最小のレーザモードであることを明確に証明した.さらに,高分解能な寿命評価が望める短パルス半導体レーザを導入し,赤外光電子増倍管によるサブナノ秒領域の発光寿命測定を行い,自然放出レートの増大を示すパーセル効果を評価した.その結果,理論予測値に近い40倍程度の自然放出の高速化を観測した.今後さらなる構造最適化による共振器Q値の増加と表面パッシベーション等による非発光再結合の低減により,反転分布を必要としない無しきい値レーザの実現,ならびに光-電子の強結合状態の観測による量子暗号通信のための単一光子光源など,次世代光通信システムに貢献すると考えられる.
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Research Products
(3 results)