2005 Fiscal Year Annual Research Report
酸化チタン-金属ナノ粒子系材料が示す多色フォトクロミック現象の解明及びその応用
Project/Area Number |
05J05449
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松原 一喜 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 金属ナノ粒子 / 表面プラズモン共鳴吸収 / 多色フォトクロミズム / 光誘起形態変化 / 光触媒 / 単結晶酸化チタン / 光酸化還元反応 / 原子間力顕微鏡 |
Research Abstract |
近年、当研究室において銀ナノ粒子(以後、Ag)を担持したアナターゼ型多孔質酸化チタン(TiO_2)膜が多色フォトクロミック特性を有することが見出された。これはTiO_2多孔膜孔内で様々な形態(サイズ・形状)を象ったAgそれぞれに特有な波長におけるプラズモン共鳴吸収、及びAgの光酸化還元反応(可視光照射によるAgからAg^+への酸化溶解、ならびに光触媒反応を利用したAgの再還元析出)に由来する現象と推察されている。本年度はこのAg担持酸化チタン(Ag-TiO_2)膜に関する詳細な反応機構解明と発色特性等の機能性の向上・制御という2つの観点から、これらを達成するために解決すべき課題の1つである「Ag1つ1つの光誘起変化における色情報(プラズモン共鳴吸収波長)と形態情報の双方を的確に捉え、それらの相関性を明らかにすること」を目的として研究を進めた。 従来のAg-TiO_2膜ではTiO_2微粒子で構成される多孔質膜を用いていたため、主にその孔内で形成されるAgの直接観察は困難であった。そこで、本研究ではAgの観察の容易化を期待し、ルチル型TiO_2単結晶表面上にAgを光触媒析出させることで、原子間力顕微鏡(AFM)を用いたAgの光誘起形態変化の直接観察を試みた。また、この形態変化と吸光スペクトル変化とを対応づけてAgの形態とその共鳴吸収波長との相関性についての解析を行った。 結果として、光照射により照射光波長付近の吸光度が選択的に減少する挙動が観測され、本系が従来系と同様に多色フォトクロミズムを発現すること、つまり、本材料の多色性はTiO_2の種類に由らず一般性の広い現象であることが明らかとなった。また、AFM像から光照射により確かにAgの形態が変化する様相を確認しており、現在はこの変化挙動の再現性を得ることに尽力している。 近く、本研究結果に関して学会発表を行い、さらには英文誌へ投稿する予定である。
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