Research Abstract |
本研究は,単結晶Ni基超合金(以下,単結晶材と呼ぶ),および,これに施す遮熱,耐食コーティングを対象とし,寿命制御機能を備えた超高温用材料システムの構築を目的として研究を行った.本年度は,昨年度の研究成果を発展させ,1.単結晶材の高温疲労と組織形態変化を統一的に扱う力学モデルの構築,2.遮熱・耐食コーティング材の熱サイクル損傷試験,ならびに,3.単結晶材の組織形態変化を応用した高温力学場の検出技術への展開についての検討を行った.得られた主な結果を以下に示す. 1.Hybrid Compositeモデルの考え方を基に,昨年度から提案していた力学モデルを修正・改良した.そのモデルは,単結晶材の高温疲労寿命予測に加え,同材の組織形態変化の予測,さらには,組織形態が高温疲労強度に及ぼす影響についての統一的な検討が行えるものであり,それを用いた解析は昨年度に得られた実験結果ともよく一致した. 2.ボンドコート被膜材質が異なる3種の遮熱・耐食コーティング試験片を作成し,各試験片に対する熱サイクル損傷試験を行った.その結果,コーティング材の熱サイクル損傷特性はボンドコート被膜材質に大きな影響を受け,本研究で提唱していた損傷治癒効果を持つボンドコートは熱サイクル損傷に対する耐性を大きく低下させる可能性があることが明らかになった. 3.単結晶材の組織形態変化を用いた高温力学場の検出技術について,単結晶材薄膜を用いた塑性ひずみ検出手法を提案し,その工業的妥当性と実用化の方向について検討した.その結果,単結晶材薄膜の組織形態変化により,塑性ひずみの大きさ・方向・履歴をある程度推定し,検出できることが明らかになった.
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