2005 Fiscal Year Annual Research Report
高速原子間力顕微鏡の開発とタンパク質分子のナノ動態解析
Project/Area Number |
05J05544
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
古寺 哲幸 金沢大学, 自然科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / AFM / 高速AFM / タンパク質 / 機能動態 / リアルタイムAFM / アクトミオシン / ミオシン |
Research Abstract |
1.高速AFMの時間・空間分解能を一層引き上げることを目的に、Z走査のフィードバック帯域を向上させることに取り組んだ。AFMのフィードバックループには、いろいろな遅延要素が含まれるが、主な遅延要素はZスキャナーの共振周波数とカンチレバーのQ値である。通常Zスキャナーに用いられる圧電素子は、マクロな機械デバイスであるため、高い共振周波数を持たせることが困難である。そこで、ミクロな機械デバイスであるカンチレバーにパワー変調したレーザーを照射し、光熱膨張によってカンチレバーをZ方向に直接駆動させる方法を開発した。980nmの赤外レーザーを用いた場合、カンチレバーの変位効率は〜0.3nm/mWであった。また、この手法を用いることによって、カンチレバーのQ値制御も同時に行え、カンチレバーの応答時間を短くすることができた。Z走査のフィードバック帯域は、55kHzから120kHzに拡大され、ビデオレートのフレームレートを達成する帯域になった。 2.タンパク質分子の形状以外の情報を映像として捉えることを目的に、カンチレバーの振動の位相シフトを高速に検出する手法の開発が行われた。位相の検出感度は1.4度で、カンチレバーの振動の1周期毎に更新される。これまでに試料表面の弾性を反映した映像を捉えることができている。今後、タンパク質分子の観察に応用したい。 3.高速AFMを用いて、モータータンパク質であるミオシンVとアクチンフィラメントの相互作用(アクトミオシンVの相互作用)を観察した。その結果、ミオシンVが二つのモーター部位を交互に使って、アクチン上を歩いているような様子を捉えることに成功した。タンパク質分子の時系列に沿った構造形態変化を直接観察したという極めてセンセーショナルな結果である。
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Research Products
(5 results)