2005 Fiscal Year Annual Research Report
国際取引における不当利得法理の意義に関する比較法的研究
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05J05601
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
片岡 雅世 立命館大学, 法学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 国際私法 / 不当利得 / 国際取引 |
Research Abstract |
国際取引が活発になされている現代社会において、従来より正義・衡平の観点から「あいまいなもの」として理解されがちであった不当利得法理のもつ意義を明らかにするため、ドイツ国際私法における議論を検討した。検討にあたっては、ミュンヘン大学で開催されたサマートレーニング(MUST)に参加して、ドイツ民法およびドイツ国際私法における不当利得の議論ならびにEU法(ローマII規則)の最新動向等のヒアリングおよび資料収集を行った。これらを検討した結果、ドイツにおける不当利得法は、BGB成立を一つのきっかけに類型論が唱えられるようになり、実質法のみならず抵触法においても不当利得の類型化が図られ、それぞれの類型に適当な準拠法が考えられるようになった。現在のドイツ国際私法ではこの考え方が踏襲され、原則的に不当利得を3つの類型に分けてそれぞれ準拠法を定めている。また、不当利得事件への当事者自治を認め、最密接関連地への連結を認めるなど、柔軟な態度がとられている。EU法も基本的には、ドイツ法類似の柔軟な対応が予定されている。しかし、当初の予定が遅れ、未だ議論途中にあることから、引き続きその動向を探る必要があることがわかった。以上の検討結果を専門研究会にて報告し、さらに議論を深めた。現在、研究会での議論をふまえて、次々と修正が加えられているEU法の動向にも注目しながら、公表準備をしている。 さらに、英米法における不当利得法理および原状回復法理の検討にも着手した。アメリカ法とイングランド法とでは発展過程が異なるが、いずれもドイツ法における議論を参考にしているように思われる。これらを比較・検討する意義は大きいが、まず、全体を明らかにする必要があり、引き続き検討を行う。 そのほか、国際私法学会等に参加して、新しい国際私法の法源となる「法の適用に関する通則法」をはじめとする新法令についての検討も行った。
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Research Products
(1 results)