2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J05654
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
千 羨幸 立命館大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 突帯文土器 / 孔列土器 / 韓半島 / 瀬戸内地方 |
Research Abstract |
平成17年度の研究目的は韓半島と西日本の突帯文土器の関連性の有無を確認することであった。この課題の解明には(1)韓半島の突帯文土器の時間的位置や内容を明らかにする。次は(2)韓半島と西日本で時期が逆転して出土する孔列土器(縄文晩期中葉の黒川式)や突帯文土器(縄文晩期後葉)を巡る両地域間の併行関係を再検討する。最後に(3)西日本において突帯文土器形成過程を明らかにする方向に研究を進んだ。 その成果は(1)韓半島南部の突帯文土器は細部編年が可能で、無文土器時代早期から前期末(III期)にまで及ぶ長期間にかけて存続したのが分かった。韓半島南部の突帯文土器は新岩里II期の鴨緑江中上流域から移住した小規模の住民が伝統的住居形態を基盤に、有文土器在地の土器組成を尊重しながら、新しい器種である壺や装飾的な突帯要素を導入して製作したと推定した。(2)山陰地方の縄文時代晩期前葉から中葉にかけて、韓半島嶺南地方東南部の無文土器時代前期の影響(二重口縁土器は韓半島の前期I期〜II期古段階に、山陰地方の孔列土器は前期II期古段階〜III期の古段階に位置付けられる)を指摘することができた。さらに、弥生時代開始期の九州地方における韓半島からの影響の重要性については、あらためて取り上げるまでもないが、それに先行する山陰地方と韓半島との関係を明らかにできた。(3)西日本の突帯文土器から見ると地域性が強く反映されていて、深鉢だけではなく、浅鉢や沈線文から見る限り、西日本における刻目突帯文土器は愛媛を中心とした瀬戸内地方で突帯文土器文化が形成されたことが指摘できた。そして、これらの沈線文や突帯文土器の突帯位置や形態から見ると、西日本の突帯文土器の形成には韓半島南部の南江流域からの影響があったことが指摘できる。((3)は纏めて、雑誌に投稿予定である。)
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Research Products
(2 results)