2006 Fiscal Year Annual Research Report
"鑑識眼"の研究-技能測定尺度の作成と教育プログラムの開発を中心課題として-
Project/Area Number |
05J05801
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
時津 裕子 九州大学, 大学院人間環境学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 鑑識眼 / 認知技能 / 考古学 / 分類 / 同定 |
Research Abstract |
1.鑑識眼の機序に関する基礎研究 考古学領域を中心としながら,描画再生法,眼球運動測定,分類課題などを用いた実験心理学的手法により,従前の研究を継続し,これまでの知見を補完し追証するデータを得た.とくに分類課題を使用した実験については,新たに工夫した課題を採用することで,これまで把握しがたかった,未経験者〜初学者間の技能発達の連続性を把握することが可能となった.これらの成果の一部は日本認知心理学会第4回大会(「熟達化にともなうカテゴリー構造の変化-考古学的"鑑識眼"保持者を対象として-」)および日本心理学会第70回大会(「"鑑識眼"の研究-考古学的熟達者のカテゴリー特性-」)において発表した.また,日本認知心理学会第5回大会にて発表予定である. 鑑識技能の基礎的な成立メカニズムについては,その骨子を昨年度までに学位論文『考古学的"鑑識眼"の成立基盤』としてまとめたが,あらたに書籍の出版とういう形で広く成果を公開するべく,その準備作業に当たった.心理学・考古学領域などの専門研究者から,学生や市民などの一般的な知識層までを読者層として想定したため,一定の専門性を保ちつつも,理解しやすい記述になるよう留意した.補筆・改稿等の編集作業は一通り終了し,『鑑識眼の科学-認知心理学的アプローチによる考古学者の技能研究-』と題して青木書店より出版することが決定した. 2.尺度作成および指導法開発に向けた取り組み 前年度に引き続き,文献収集・実験心理学的検討(1を参照)・鑑識技能保持者および学習者からの聞き取り調査を通じて情報収集を行った.とくに,眼球運動測定および記憶再生課題と様々な教示(指導)を組み合わせた実験の成果から,短時間での対象観察と描画再生が技能レベルを向上させるトレーニングとしてかなり有効であるという可能性が示唆された.この点は次年度に実証的データを収集し,検証する予定である.
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Research Products
(3 results)