2007 Fiscal Year Annual Research Report
鑑識眼の研究-技能測定尺度の作成と教育プログラムの開発を中心課題として-
Project/Area Number |
05J05801
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
時津 裕子 Kyushu University, 大学院・人間環境学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 認知技能 / 鑑識眼 / 分類 / 同定 / 考古学 |
Research Abstract |
まず従前の研究内容を継続し,考古学的"鑑識眼"の成立機序について理解を深めるべく,さらなる検討を実施した.これらの成果は,当初の研究計画どおり著書として出版し(『鑑識眼の科学-認知心理学的アプローチによる考古学者の技能研究-』,株式会社青木書店),一般公開を果たした. また本年度はとくに,本研究の主目的である「熟達者養成(技能の獲得トレーニング)」に焦点を当てた検討に重点的に取り組んだ. (1)類似度評定課題による発達過程の検討 これまでの検討から,熟達化の過程でカテゴリー知識の構造が変化すると判明している.従来の課題では,その性質上,経験者のみを対象とせざるをえなかったが,今回新たに類似度評定課題を用いることで,専門的訓練の経験が全くない層(非経験者)まで視野に入れた検討が可能になった.結果の分析を通じて学習の初期過程における,非経験レベルからの発達の連続性が明らかになった.成果については,日本認知心理学会第5回大会(於京都大学)および日本心理学会第71回大会(於東洋大学)において発表を行った. (2)指導が学習におよぼす効果の検討 観察時に行う教示内容が対象の記憶形成におよぼす効果を検討した.考古学的経験を全く持たない被験者に,土器の観察と描画再生を行わせたところ,観察前に行った教示の内容((1)形状への注意喚起(2)形状への注意喚起と言語による特徴記述(3)形状への注意喚起と,言語・描画による特徴説明(4)教示なし)により,記憶成績が変化することがたしかめられた.これらの成果については,今後論文や学会発表を通して公開していく
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Research Products
(5 results)