2005 Fiscal Year Annual Research Report
原始惑星系円盤内の塵層における重力不安定による微惑星形成の数値シミュレーション
Project/Area Number |
05J05988
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
矢本 史治 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 原始惑星系円盤 / 重力不安定 / 微惑星形成 |
Research Abstract |
原始惑星系円盤内に含まれる塵(〜1μm)から惑星が形成されるまでの過程において、微惑星と呼ばれる1kmサイズの天体が形成されるメカニズムはまだよくわかっていない。微惑星の形成モデルのひとつとして「塵層の重力不安定」が提唱されている。本研究では、この塵層の重力不安定によって微惑星形成がどのように進行していくのかを数値シミュレーションによって調べた。 数値シミュレーションは、中心星からの動径方向と円盤中心面から鉛直な方向を考慮した軸対称2次元で行った。地球軌道付近において塵層内に含まれる塵の大きさがすべてそれぞれ、(a)1mm以下(b)約5cm、(c)約10cmであると仮定した(物質密度は1g/cm^3を仮定)。また、塵層で生じる別の不安定であるシアー不安定の影響を避けるため、中心星からの動径方向の圧力勾配が局所的にゼロであると仮定した。 塵の大きさが(a)のとき、塵層の重力不安定が成長することによって中心星の周りを取り囲むリング状の構造へと変化する様子が示された。さらに円盤中心面付近の左右の領域においてくぼんだ形状になることもわかった。このくぼんだ形状は自己重力によって加速された塵の慣性(すなわち非線形効果)によって引き起こされたと考えられる。塵の大きさが(b)の場合も(a)の場合と同様に重力不安定が成長する様子が示され、円盤中心面付近のくぼんだ形状も見られた。しかしながらこの場合、塵が円盤中心面に向かって沈殿する影響も見られ、(a)に比べて形成されるリングのスケールは小さい一方でリング内の密度は上がることがわかった。また塵の大きさが(c)の場合、塵の沈殿が重力不安定の成長よりも早いことが示された。これらの結果から、塵層の重力不安定はその内部に含まれる塵の大きさによって異なる過程を経ることが導かれた。
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